“オリオン座流星群”21日にピーク 本命はきょうだいの「みずがめ座η(イータ)流星群」か
見ごろは21日19時~22日未明
秋の夜長。ちょっとした天体ショーが楽しめそうなのが、今月21日夜に最も活発化する「オリオン座流星群」だ。あの「ハレー彗(すい)星」の通り道を地球が通過することで毎年起きるこの現象。特徴は流星の速度が速く、比較的明るいことだ。中には、大きな「火球」となるもの、長い光の痕跡(流星痕)を残すものもあるという。 [画像]オリオン座流星群の観察 西日本太平洋側を中心にチャンス 国立天文台などによると、同流星群は2006年に予想もなく、全天球で1時間あたり100個以上という過去最大級の流星数が出現し、天文界の“大事件”となった。翌年も70個近く観測され、さらに事件の余韻は10年ごろまで続いた。出現数が最も多くなる「極大」の今年の予想は、21日午後7時ごろだが、放射点がより高くなる同日午後11時ごろから22日未明にかけてが見ごろ。1時間に十数個は降るかもしれないが、あいにく当夜はほぼ満月なので、月を直接見ないように観測するのがコツだという。
名前の由来は「オリオン座」方向から飛来することから
オリオン座流星群は、太陽を約75.3年周期で回っている「ハレー彗(すい)星」がまき散らして行ったチリの帯の中に地球が入り、そのチリの一群が地球の大気に飛び込み、流れ星として輝く。流れ星はオリオン座の方向から飛んで来るので、その名が付いた。同じハレー彗星を母天体とする流星群はほかに、5月の連休ごろに極大となる「みずがめ座η(イータ)流星群」がある。 オリオン座流星群の特徴の一つが、流れ星の速さだ。チリが大気に突入する時の速度は、チリ本来の速さに地球の公転速度(秒速30キロメートル)が加わり、同流星群の場合は秒速約60キロメートルにもなる。これは、地球との正面衝突に近い形でチリが大気に飛び込んで来る「しし座流星群」(11月)の秒速約71キロメートルに次ぎ、流星群では2番目の速さだという。
70年前にも突発出現した流星群
同流星群についての観測記録は、中国に西暦288年、585年、930年のものが残っているというが、流星観測が盛んなヨーロッパにはあまり古い記録はないらしい。他の「しぶんぎ座流星群」(1月)や「ペルセウス座流星群」(8月)、「ふたご座流星群」(12月)といった“三大流星群”に比べても、少し地味な存在だったオリオン座流星群が、なぜ06、07年に“大事件”を起こしたのか。 その謎を解明したのが、国立天文台の渡部潤一さんと佐藤幹哉さんだ。ハレー彗星の紀元前1,400年からの軌道を基に、チリの帯と地球の公転軌道の関係を調べてみると、紀元前1266年と同1198年、同911年にハレー彗星が太陽に近づき放出したチリの帯がまとまって地球の公転軌道に近接していたことが分かった。およそ3,000年前の、日本の縄文・弥生時代に放出されたチリ集団が、見事な天体ショーを見せつけたことになる。さらにこのチリ集団は、木星の公転に連動して約71年の周期で太陽を回っていることも判明した。詳しく調べると、06年から70年前の1936年にも突発出現が記録されていたのだ。
オリオン座流星群から水瓶座η(イータ)流星群へ
では、オリオン座流星群の今度の大出現は2077年ごろとなるが、気落ちはご無用だ。これまでノーマークだった、同流星群と姉妹(兄弟?)の「みずがめ座η(イータ)流星群」が今年5月6、7日に大出現したのだ。国際流星機構(IMO)によると、天頂出現数(ZHR)は1時間あたり120~140個と、例年の2、3倍の流星数が観測された。日本でも最大でマイナス10等星ほども明るい火球が多数観測されたという。 この「みずがめ座η(イータ)流星群」の大出現は、来年も続いて起きる可能性がある。オリオン座流星群の流星たちに願いをかけるのも、いいかもしれない。 (文責/企画NONO)