うつ病で休職を繰り返した48歳課長 職場復帰後、9年間休むことなく働くことができた理由…課長職の妻に感謝
産業医・夏目誠の「ストレスとの付き合い方」
精神科産業医として45年以上のキャリアを持つ夏目誠さんが、これまで経験してきたケースを基に、ストレスへの気づきとさまざまな対処法を紹介します。 【図表】うつ病にならないためにやめておきたい七つのこと
夫婦ともにフルタイムで働く人が増加しています。子育て中は、子供の不調時の対応など苦労は多く、役割分担など多くの課題があります。しかし、精神科産業医としてメンタル不調への対応を担当していると、夫婦共働きは、強力なセーフティーネットだと思います。メンタル不調は再発も多く、働き方を改めなければならないことも多いからです。専業主婦の家庭で夫がメンタル不調になると、家計への直撃が避けられません。 夫婦ともに正社員で働いている48歳のメーカー課長、香川太郎さん(仮名)はうつ病で休職を繰り返してきました。復帰への対応を紹介します。
3回目の休職から職場復帰
メンタル不調で休職すると、主治医から復帰可能との診断書を受けて、産業医が面談をして、どのような形で復帰するかなどを決めます。そこでの香川さんとのやりとりです。 産業医 : 精神科産業医の夏目です。うつ病での休職は今回が3回目。いよいよ復帰ですね。 香川課長: そうです、これ以上、職場には迷惑をかけたくないので、再び悪化することがないよう、慎重に復帰の仕方を考えたいと思っています。もう休職は最後にしたいですから。 産業医 : 再発はうつ病という病気の特性ですから、なかなか難しいですね。ストレスや過重労働を避け、物事の考え方を改めて、うまく付き合っていくのが大事ですね。
課長の仕事はストレス
香川課長: 復帰のラストチャンスのつもりで、どうすればいいか考えました。 産業医 : それで。 香川課長: 課長職というポジションはなかなか大変です。やるだけのことは頑張らないと気が済まない性格ですから、どうしても長時間労働になりがちです。本で読んだ「執着性格」というのが自分だなと思いました。 産業医 : ノルマもあれば、管理する部下もいる。対外折衝や会議も多くストレスは多いでしょうね。無理をした結果、再発を繰り返してきたわけですね。でも、性格を切り替えるのは難しい。 香川課長: そうですね。「ここまででいい」とか頭を切り替えようと努力もしてきましたが、走り出すと、元通り。性分というのでしょうか。修正しようと試みてきましたが、難しいです。 産業医 : 課長職をどうするの?