【猫と暮らす家】猫が喜ぶ家づくりとは?猫のために空間や造作家具をしつらえた家
「家で長く過ごす猫が楽しく暮らせる家に」。季節や光の加減に合わせて、心地いい居場所を求める猫の姿に、住む人も心が解き放たれる癒やしの暮らし方です。
猫の習性に合わせて空間や造作家具をしつらえる
ダイニングに設けた階段状の木の棚が、猫お気に入りの遊び場─。ノルウェージャンフォレストキャット2匹と長男とともに都内の中古住宅に暮らしてきたYさん。建て替えにあたり、テーマは〝猫が楽しく暮らせる家〟だったといいます。設計を手掛けた、建築家で「GENETO architects」の山中悠嗣さんは、こう振り返ります。 「猫は外をよく眺めているから、いろいろな方向に窓を作ってほしい、と。棚の上に上がったり、置物のように収まったり。Yさんとのお話から、猫が好む場所や姿勢を“シーン”として捉えて、空間の構成や家具の配置を考えることにしました」 <写真>思い思いの格好でくつろぐ猫たち。高所への上り下りを好む猫にとって、吹き抜けの棚は特等席。冬場は争うように明るく暖かい場所を求め、夏場は1階で静かに涼む。“猫の毛落とし”に役立つ角材は、棚板を増やす際にも活躍。
住宅密集地に建つ木造3階建て。多方向から光がよく入るその住まいは、階段や吹き抜けを介して空間全体を見渡せる、猫に優しいオープンな作りです。ダイニングとリビングにある窓からは、前の道路を行き交う人や裏の水路、高窓からは流れる雲…。その時々の風景を楽しむことができます。 <画像>約18坪の敷地に建つ住居は、縦空間を生かした伸びやかな間取り。猫が階段や棚板、窓辺のカウンターをヒョイと渡りながら、家全体をより3次元的に体感できる緻密なプランが組まれている。
特に秀逸なのが、壁の各所に配されたボックス型の収納です。収納の側面には猫がくぐり抜ける穴など、細部に工夫が。箱型の収納は壁面に直に設置するのではなく、角材をかませて隙間が開けられているのです。 猫が頻繁に上る箱や棚の上には猫の毛が溜まりがちですが、角材と壁の間から毛が床に落ちる仕様になっており、掃除がグンと楽に。猫も人も自然体で楽しく暮らせるスマートな住まいをかなえています。 <写真>猫の遊び場を兼ねた箱型デザインの収納。白壁と明るい色のフローリングが軽やかな印象の空間で、箱型の収納がリズムを刻む。階段からキッチンまで、造作家具は棚が積み重なったデザインで統一。岐阜産の檜合板で丁寧に製作されている。