人種差別が当たり前に存在していたアメリカのスポーツ界…リベラルな風が吹き荒れるアメリカで〈大谷翔平〉が活躍することの意味
すでに政治的メッセージを帯びている大谷
さて、日本で数々の企業広告に出演している大谷は、キャパニックやマスターカードのように明確で具体的な政治的メッセージを発しているわけではないが、その存在自体がすでに政治的メッセージとなっている。 アメリカでは人種的マイノリティである大谷が「投打二刀流」という新しい挑戦で成功を収めたという事実は、MLBというスポーツ機構の「懐の深さ」を示唆している。大谷本人にそんな意識がなくても、今日のアメリカにおいて大谷の存在は「人種的マイノリティのサクセスストーリー」のひとつと見なされる。それはMLBに限らずアメリカのスポーツ界では人種差別が当たり前に存在していたこと、場合によっては今もあることの裏返しでもある。 内野 宗治 ライター