米ドルの「緩やかな下落」でいくつかのアジア通貨は為替レート上昇 アジア・マーケット動向を振り返る【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
※本稿は、チーフリサーチストラテジスト・石井康之氏(三井住友DSアセットマネジメント株式会社)による寄稿です。「アジアリサーチセンター」のレポートを基に、中国を中心に2024年5月のアジア・マーケットを振り返ります。
アジア:マーケット動向
⇒【株式】まちまち、【通貨】まちまち、【債券】概ね金利低下 【株式市場】 ◆ベトナムや台湾などが上昇、フィリピンなどが下落 ベトナムは、資本流入継続への期待や、米国がベトナムの市場経済国としての地位を検討しているとの報道などから上昇。また、半導体受託生産大手の好調な月次売上高や、電子機器受託生産企業の好決算などを受けた台湾が上昇したほか、中国における不動産支援策を好感した香港も上昇。一方、実質GDP成長率が市場の事前予想を下回り、通貨安圧力が強まったフィリピンが下落し、インドネシアも政府が経済成長率見通しを引き下げたことや、経常赤字の拡大などが嫌気された。韓国は、大手電子機器・電気製品メーカーの株価が下落したほか、電気自動車需要の減速が懸念されたことからバッテリーメーカーの株価が軟調だった。 【通貨(対米ドル)】 ◆まちまち 米ドルが5月に緩やかに下落したことからいくつかのアジア通貨の対米ドルレートは上昇した。資源通貨であるオーストラリアドル、マレーシアリンギットの対米ドルレートは大きく上昇した。一方、米国の利下げを待たずに自国の利下げを模索しているフィリピンペソは米ドルに対して最も下落した。 【債券(国債)市場】 ◆多くの国で金利低下 アジア国債利回りは一部の国を除き低下した。4月に利上げが実施されたインドネシアでは、5月には政策金利が据え置かれ、長期金利も反転低下した。同様に政策金利が維持されたマレーシア、韓国、オーストラリア等でも長期金利は落ち着いた動きで推移した。 <※参照:各国の株価指数の名称> ●中国:上海/深圳CSI300指数、●香港:ハンセン指数、●韓国:韓国総合株価指数、●台湾:台湾加権指数、●インドネシア:ジャカルタ総合指数、●マレーシア:クアラルンプール総合指数、●タイ:SET指数、●ベトナム:ベトナムVN指数、●シンガポール:シンガポールST指数、●フィリピン:フィリピン総合指数、●インド:SENSEX指数、●オーストラリア:ASX200指数
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