米ドルの「緩やかな下落」でいくつかのアジア通貨は為替レート上昇 アジア・マーケット動向を振り返る【解説:三井住友DSアセットマネジメント】
中国<金融市場動向>
⇒株式はもみあい、人民元は目先安定へ、金利はもみ合いながら低下 【株式市場】 ◆不動産政策を好感 中国各地で住宅購入規制の緩和策が発表されたほか、中国人民銀行(中央銀行)が住宅の過剰在庫整理を目的とした資金供給を発表したことなどを好感。月末にかけて、地政学リスクの高まりや電子商取引に対する監督強化への警戒感からやや軟調となるも、月を通してみると上昇。投資戦略においては、引き続き構造的な成長分野の有力企業、政策のサポートを得ている企業、国際競争力のある企業、増配が期待される企業に着目し、ツーリズムや高齢化関連、環境関連や工場自動化などが長期目線では有望視できそうだ。 【為替・債券(国債)市場】 ◆人民元は目先安定へ 人民銀行は対米ドル基準レートを長期間ほぼ同水準で据え置いており、市場レートは取引レンジの下限近辺で安定推移している。その結果、米ドルが上昇する際には、人民元は他のアジア通貨に対して上昇しやすい。米ドル下落時には逆の事象になりやすい。米ドルが明確な下落傾向を示すことで、市場レートが基準レートに向けて上昇する余地が出てこない限り、足元でみられる市場レートの安定傾向は続きそうだ。 ◆債券利回りはもみ合いながら低下する展開 国では、低インフレの継続やマネー統計が市場予想を下回ったことで、金利は低下。また、財政部から特別国債の発行計画が発表され、市場の想定よりも発行ペースが緩やかであったことも、金利低下に寄与。その後は、政府が不動産部門に対する緩和策を打ち出しことで、センチメントが改善したことや、人民銀行による国債金利低下に対するけん制が再度入ったことで、金利には上昇圧力がかかった。目先は、不動産部門に対する政策効果は限定的と判断し、中国経済の回復の鈍さが意識されつつ、追加金融緩和への期待が維持される展開は継続すると見込み、中国国債利回りはもみ合いながら低下する展開を予想する。
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