【Q&A】大統領暗殺に大地震 「ハイチ」ってどんな国? 【図解】
Q:現在、どのような社会課題があるの?
貧富の格差が激しく、国民の半数以上を占めると言われる貧困層は教育や医療を十分に受けられていません。これらの人々の多くは首都ポルトープランス市の低地やスラム街を中心に密集して生活しています。国際機関もギャングの攻撃を恐れて食料支援、保健医療や予防接種事業なども十分に進めることができなくなっています。
▼道路・上下水道・電気・通信・物流など基礎インフラ▼治安▼医療・保健▼災害▼教育――など多方面で改善が必要な状況で、世界の最貧国に分類され、アメリカ大陸では最も貧しい国です。
Q:地震が起きたけど、自然災害は多い国なの?
これまでに幾度となく自然災害に見舞われています。最近では2008年、12年、16年に大きなハリケーンの被害に遭い、特に08年には約800人が犠牲になりました。 また、2010年には大規模な地震が発生し、耐震性の弱い家屋が多いことも重なり首都近郊を中心に約31万人が亡くなりました。
Q:国際機関や日本はどのような援助をしてきたの?
JICAは1962年に研修事業や無償資金協力を開始し、2010年のハイチ大震災の復興支援として事業を拡大しました。近年は、ハイチの自立発展を目標に、人材育成に焦点を当てています。例えば、小中学校の建設、教員の養成や防災の意識を高めるための教育に関する協力も行っています。
日本以外でも多くのNGOや国際機関、旧宗主国のフランス、米国から援助を受けてきました。しかし、長年に渡って援助を受けてきたことから「援助慣れ」が起きていると指摘されています。
Q:政情不安は珍しいことなの?
いいえ、歴史を振り返るとそうとも言えません。 ハイチでは、その時々の政権をめぐる汚職のまん延は長きに渡る課題です。そして正規軍の力が弱いことから政権の座にない勢力が武装したギャングと手を組みクーデターや内戦を起こしてきた経緯があります。 2000年代に入り、国連平和維持軍が武装勢力の解体に努めましたが難航しました。2017年、19年と段階的に国連軍が撤退すると、ハイチ軍や警察の抑止力が弱まり、反政権勢力による武力行使が激化。治安は悪化の一途をたどっています。