「たまには散歩することも大事なのかな」石川祐希がいま明かす“パリ五輪のこと”「あと1点が取れていたら…」一番記憶に残っている場面とは?
一番記憶に残っている場面とは…
――みんなを喜ばせてあげられなかった、みたいな? 「いや、そんなキレイな感じではないですけど(笑)。こういう雰囲気を味わいたかったなという思いはありますね。嫉妬、とはまた別なんですけど、少し羨ましい。その中にも悔しさ、情けなさといった感情もちょっと入っている。悪い思い出だとは別に思っていなくて、ただ自分たちの結果がこれだったというだけ。その現実をしっかり噛み締めてるなという感じですかね」 ――一番記憶に残っている場面は? 「イタリア戦の3セット目や、5セット目の最後のシーン、その1個前に僕がシャットを食らったシーンだったり。でも一番大事だったと思うのは、初戦のドイツ戦です。そこで負けたことで、ちょっと崩れてしまったかなと。なんかうまくいかないなとか、ちょっと違うなーというのは、僕はあったし、たぶん全員あったんじゃないか。どんな内容でも勝っていればポジティブにいられたと思いますけど。僕自身は、ドイツ戦は数字だけ見ると悪くなかったんですが、4セット目の途中で足がつってしまって。その後のアルゼンチン戦、アメリカ戦は十分なパフォーマンスを出せませんでした」 ――大会中に、選手村での生活で歩く距離が長くなっている影響があるとコメントされていたようですが。 「正直それはありました。歩く量は間違いなく普段の……10倍くらい(苦笑)。今年は足がつったことはなかったのに、なんでだろう? と考えたら、それしか心当たりがなくて。僕は歩くのはあまり好きじゃないから、普段歩かないんですけど、たまには散歩することも大事なのかなと」 ――普段の練習で走ってはいても、歩くことは少ないんですね。散歩もルーティンに入れないと。 「と思いました(笑)」
初戦に負けてから、色々考えてしまって
――もう取り入れているんですか? 「今は全然。でもオリンピックの前シーズンになったら、歩く量を増やそうかなと思っています。ただ足がつったこと以外は、コンディションは決して悪くなかったんです。パフォーマンスを出せなかった原因はメンタルの部分にあったと考えています。初戦に負けてから、チームメイトの表情を見て『どうしたらいいのかな? 』とか、色々考えてしまって。その僕を見て、いろんな選手がまた気を遣ってという悪循環になっていた。アメリカ戦で特に感じたんですけど、みんな笑っていなかった。たぶん僕が笑えてないから。途中で僕と大塚(達宣)が代わったんですけど、それはチームのためにすごくよかったなと思います。ああするべきだったと僕も思っていましたから」 <後編に続く>
(「NumberPREMIER Ex」米虫紀子 = 文)
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