なぜ勝負?なぜ外野前進?阪神がマルテ一撃で決死ドローも8回の矢野采配に疑問
去年まで7年間、阪神のコーチを務めた評論家の高代延博氏は。この場面に2つの「なぜ?」があるという。一つ目は、「サンタナは敬遠すべきではなかったか」という疑問だ。 「マウンドに福原コーチが行った。おそらく、サンタナをどうするのかの確認だったと思う。ベンチの意向を伝えたのか、それとも本人の意思を尊重したのかはわからない。ただ、その初球に梅野は外に構えていた。本当は勝負ではなかったのかもしれない。だが、結果的に勝負にいって打たれた。もし敬遠すると2点目の走者となる。勝負したのも理解できる。だが、ベンチの指示が曖昧に見えた。ここは敬遠だったと思う。歩かせれば、次は左の元山だからおそらく代打。右打者なら内川だろう。内川は勝負強いが、スタメンで出場できていないのが現状。内川か、サンタナかの選択ならは、内川との勝負を選ぶべきではなかったか」 高代氏が、もうひとつ指摘するのは、ここで極端な前進守備を取った外野のポジショニングだ。 「ツーアウトでサンタナの打力と渡邉の走力、そして、佐藤、近本、サンズの守備力と肩をてんびんにかけると前進守備は取るべきではなかったと思う。ヒットを想定して1点をやらない守備ではなく、あと1、2歩下がって打者勝負に徹するべきだった。サンタナの怖さは間を抜くヒットではなく一発のパワー。もし佐藤が、あと1、2歩、後ろを守っていれば十分に捕球できていた。防げた1点だと思う」 百歩譲ってサンタナとの勝負がありだったとしても、外野の守備位置を極端に前に出していなければ、なかった1点である。 高代氏は、4回にアルカンタラが村上に許した同点の24号ソロも「配球で防ぐことができた失点」と見ている。 「この日のアルカンタラは非常にストレートに力があった。村上に2球ストレートを続けて共に空振りを奪い簡単に追い込んでいた。村上はストレートを狙い振り遅れていた。3球目もストレートでいき、それはボールとなった。カウント1-2からスプリットを選択してそれが甘く入った。コントロールミスだったのかもしれないが、スプリットでいくならボールゾーンに要求すべきで、あれだけタイミングが合っていなかったのだから、裏をかいてもう1球ストレートでも良かったと思う。これも防げる失点だった」 村上はストライクゾーンにきたスプリットを見逃さなかった。 ただ、高代氏は、今季の梅野の配球には成長の後が見られるという。2回に中村にカーブをジャストミートされ、近本のファインプレーでアウトにしたが、以降、梅野は、このボールを封印していた。 「アルカンタラは変化球で腕がゆるむクセがある。あのカーブはそこを読まれて強打された。梅野は、それを察知して、もう3回以降、そのボールを使わなかった」 もうひとつ大きな収穫もあった。7回一死二塁で青木を迎えた場面でリリーフに送られた左腕、及川の存在だ。