「直接、店員に伝えれば3秒で終わるのに」 急増する「QRコードで注文」問題…ネットニュース編集者でも「オーダーするまで数分かかりました」
理想は「サイゼリヤ」
スマホを使った注文システムは、便利な場面が多いのも事実だ。注文の一覧が表示できるので、注文漏れがあればすぐにわかる。割り勘をするときも、人数分で割った金額を提示してくれることもある。さらに、注文を口頭で受ける従来の居酒屋では、店側がインチキな会計をしているのではと疑心暗鬼になることもあるかもしれないが、とにかく履歴が表示されるので安心感がある。 それでも、システムがまだまだ発展途上で不完全であり、検討の余地がある。例えば、ある店ではスマホの注文画面に「水」がなかった。水が欲しい場合は、店員を呼んで「水をください」と言わなければいけない。水こそ、スマホ画面から注文できるようにしてほしいものだ。そして、Wi-Fiはどうにかしてほしい。できれば長々としたパスワードを入れなくても、すぐに接続できるようにできないものか。 筆者は、現時点で最強の注文システムは「サイゼリヤ」ではないかと思う。サイゼリヤはテーブルに紙のメニューがある。食事ごとに番号が振られており、テーブル備え付けの用紙にボールペンで番号を記入する。記入後は呼び出しベルで店員を呼ぶ。店員は「ご注文を繰り返します。ミラノ風ドリア、ドリンクバー……以上でよろしいでしょうか」と確認してくれる。 紙に書く程度なら楽だし、何より店員が注文を復唱してくれるので安心だ。最近、サイゼリヤではセルフレジが増えてきているが、伝票を読ませるだけなので簡単である。スマホを持っていなくても使えるので、電子機器を使い慣れていない高齢者や、スマホを忘れてしまった人にも優しい。さすがはサイゼリヤだと感心するほど、非常に良くできたシステムだと思う。
せめてWi-Fiの環境は見直してほしい
ところで、最近では紙のメニューすらない飲食店も多いのだが、果たしてこれは店にとっても良いのだろうか。スマホやタブレットは画面が小さいため、視覚的な部分で紙のメニューに劣る。料理の写真を大小並べて印刷した紙のメニューのほうが、店側が推し出したい料理がわかりやすいし、何より見ていて楽しい。小さい画面では、注文の機会を失っているのではないかと思うのだが、どうだろう。 個人的には、ファストフードではないレストランは、あまり電子機器に頼り過ぎずに、客との交流を大切にしてほしいと考える。なんでもかんでもスマホを前提にシステムを作るのは、いかがなものか。 労働人口の減少に伴い、人材の確保が難しい時代において、スマホやタブレットは飲食店に欠かせない存在になると思う。店側も負担を減らしたいという思いで、導入しているのだろう。筆者もそれには理解を示すし、致し方ない面のほうが多いと感じる。しかし、導入するからには操作性をもっと検討してほしいし、何よりWi-Fiを何とかしてほしい。Wi-Fiはパスワードを入れなくても使えるようにしてほしいものだ。 ライター・宮原多可志 デイリー新潮編集部
新潮社