「赤いネット入りのミカン」には要注意…15年間フルーツ中心の食生活を続ける男が解説「正しいミカンの選び方」
おいしいフルーツを見分ける方法はあるのだろうか。15年間ご飯、パン、肉、魚などを断ち、水やお茶も飲まず、実験的にフルーツ中心の食生活を続ける中野瑞樹さんの書籍『中野瑞樹のフルーツおいしい手帳』(河出書房新社)より、温州ミカンの解説をお届けする――。 【図表】平均的40代が、温州みかん200gを食べた後の、栄養充足率の変化 ■温州ミカンの健康効果が見直されつつある 昭和時代、コタツを囲み、テレビを観ながら温州ミカンを食べるのが冬の風物詩だった。 最も多かった1975年と比べると、2021年現在で出荷量は8割減少した。しかし、近年の研究で、温州ミカンに特徴的に多いβ(ベータ)クリプトキサンチンなどの機能性が明らかになり、温州ミカンの健康効果が見直されつつある。 温州ミカンは、400年以上前に鹿児島で生まれたと考えられており、海外ではサツマオレンジと呼ばれる。受粉しなくても結実するため、ほぼ種が入らず、また手で簡単に皮がむける。テレビを観ながらでも食べられるので、欧米ではTVオレンジとも呼ばれる。 ■実は115品種もある 栽培方法は、露地栽培とハウス栽培がある。また、収穫後に1カ月以上貯蔵して熟成させた蔵出しミカンもあり、1年を通じて温州ミカンが販売されている。 栽培品種は多く、農水省の2020年度の統計に記載された栽培品種だけでも、温州ミカンは115品種ある。 栽培面積のトップ3は、宮川早生、興津早生(おきつわせ)、青島温州。ただし、温州ミカンはリンゴなどのように品種名で売られることは少なく、たいていは地域ブランド名で販売される。
■極早生温州は9~10月頃に収穫 温州ミカンの品種は熟期により、極早生(ごくわせ)・早生(わせ)・中生(なかて)・晩生(おくて)の4系統(晩生を、さらに普通・晩生の2つに分けることもある)に分けられる。 ただし、地域によっても差が出るので、同じ時期に、異なる系統の温州ミカンが店頭に並ぶことがある。 極早生温州は、主に9~10月頃に収穫される。果皮が青くて甘酸っぱく、さわやかな香りの品種が多い。昭和時代には運動会シーズンに食べられたので、運動会ミカンとも呼ばれた。 かつては甘みが少なく酸味が強かったが、近年は栽培技術の進歩と新品種開発により、年々品質が向上している。主な品種は、日南(にちなん)1号・上野早生・ゆら早生・肥のあかり・YN26など。 ■1カ月以上熟成させた「蔵出しミカン」 早生温州は、主に10月下旬~12月頃に収穫される。甘み・酸味ともにしっかりしている品種が多い。内皮が薄くて食べやすい。 主な品種は、宮川早生・興津早生・田口早生・小原紅早生(おばらべにわせ)など。 中生温州は、11月半ば~12月頃に収穫される、お歳暮ミカンの主流。早生温州に比べると内皮が厚いが、酸味と甘みのバランスの取れた品種が多い。主な品種は、南柑20号・向山(むかいやま)温州・石地温州・させぼ温州などがある。 普通・晩生温州は、主に12月に収穫される。外果皮・内皮ともに厚いため、日持ちがよい。酸味が少なく、甘みとコクがあるのが特徴。1カ月以上、貯蔵室などで熟成させた蔵出しミカンとして出荷することも多い。 主な品種は、青島温州・林温州・大津4号・寿太郎温州など。 露地ミカンはたいてい年内に収穫が終わるが、蔵出しミカンは3月頃まで出荷される。ねっとりしたゼリーのような食感が特長で、大きいサイズのミカンのほうが、より食感を楽しめる。