手取り月34万円、定年目前「ベテラン小学校教師」が修学旅行で絶望した「まさかの光景」【FPが解説】
公立学校の職員、精神疾患による休職者“過去最多”
文部科学省「令和4年度公立学校教職員の人事行政状況調査」によれば、公立学校の教育職員の精神疾患による病気休職者数は、6,539人(全教育職員数の0.71%) で、令和2年度以降3年連続で増加し、過去最多となりました。 令和4年度の病気休職者数は8,793人であるため、精神疾患による病気休職者数が病気休職者数の約74%を占めていることとなります。一方全国健康保険協会管掌健康保険「令和4年度現金給付受給者状況調査報告」 によると、協会けんぽでは傷病手当金の受給者のうち「精神及び行動の障害」によるものは18.11%です。 公務員の休職と会社員の傷病手当金の立て付けは異なりますから単純な比較はできませんが、精神疾患による病気休職者数が病気休職者数の約74%を占めている状況は、異常でしょう。 なお、精神疾患により病気休職をした教育職員の内訳を職種別に見てみると、「教諭等」が5,987人(在職者数の0.78%)と最も割合が多く 、主に学級経営を担う先生が多く精神疾患によって休職していることが推察されます。 また、学校種別に見てみると、最も精神疾患による休職者数の割合が多いのは特別支援学校で872人(在職者数の0.96%)、次に中等教育学校の15人(在職者数の0.80%)、小学校の3,202人(在職者数の0.77%)と続いています。これらの結果からは、支援をより必要とする子どもたちと接している先生に多い傾向がうかがえます。
「定額働かせ放題」の先生たち…労働環境の改善求める声
SNSでは「定額働かせ放題」や「教師のバトン」、「このままでは学校がもたない」といったハッシュタグの投稿が数多くなされ、教育現場の労働環境の改善が叫ばれています。 学級経営を行う先生が置かれている環境は近年激しく移り変わっています。こどもたちへの丁寧な対応を求める理想的な教育者像やICTやプログラミング教育、英語教育、金融教育の導入など。変化への受け入れを求められる一方、業務において明確な答えはなく、委託できる業務は少なく、削減できる業務は少ない。 くわえて、どんぶり勘定での勤怠管理では、金銭手当があったとしても命の危険を感じる可能性もあると考えます。 筆者はライフプランニングを専門とし、日頃金融教育に携わっていますが、その立場から思うことは、ライフプランニングは自らの人生を豊かにし、持続可能な経済社会を構築していくうえで求められることではあるが、ライフプランを描ける方は限られており、最低限自らの生命の安定的な維持欲求が満たされていない状況では難しく、持続可能と自身で思える生活が土台にあるからこそ描けるということです。 多様性社会、超高齢化社会へと進展するなか、自らの資産形成が求められています。資産形成にあたってはライフプランニングや個別の事情を踏まえた計画が求められていますが、日々の仕事や生活に心を亡くしてしまう状況では対応していくことは難しいでしょう。 SDGsに則り、誰ひとり取り残さず、国民全体に金融教育を推進していくといった側面からも、公教育に携わる方に関わらず労働環境の改善を行っていくことは重要であると考えます。 内田 英子 FPオフィスツクル代表 ファイナンシャルプランナー
内田 英子
【関連記事】
- なぜ若い教師の代わりを私たちが…割を食う「氷河期世代の40代教師」の嘆き【学校現場の働き方改革の実情】
- さすがに心が折れました…平均月収38万円、「29歳・小学校教師」が夏休み明けに目撃した「まさかの光景」
- 【早見表】小・中・高 教員採用試験倍率の推移(1993年~2023年)…〈公立学校教師採用選考試験の実施状況〉
- 妻との食事は箸で食べ物を口に運ぶだけの“作業”です…定年後、家に居場所がない年金月27万円の65歳元高校教師、時間潰しの「新潟のフードコート」で目撃「高齢者たちのモラルを疑う光景」【FPが解説】
- 平均月収40万円・競争倍率10倍超を勝ち抜いたが…40代後半・元教師「限界を超えました。」氷河期世代の苦悩