厚生年金保険料、労使折半ルール見直し案提示 「壁」対策で厚労省
厚生労働省は15日の社会保障審議会年金部会で、企業と従業員で50%ずつ負担する厚生年金保険料のルールを見直し、労使合意を前提に従業員の負担割合を減らせる案を示した。パートら短時間労働者が厚生年金に加入する際に社会保険料が生じる「年収106万円の壁」対策の一環。働き控えを意識する短時間労働者に限った特例とする考えで、広く適用しない。 【表でわかる】103、106、130万円…それぞれの「壁」でこう変わる 厚生年金保険料は18.3%かかる。年収120万円であれば保険料は月約1万8000円になるが、労使で約9000円ずつ納める。健康保険の保険料も労使で負担しているが、労使で合意すれば負担割合を変更できる。 厚労省は今回、健康保険の規定を参考にした。労使での合意を基本に従業員の保険料負担を軽減させることを認める。保険料が軽減されたとしても年金給付を減らすことはしない。ただ、永続的な制度とはせず、106万円の壁対策の時限的な措置として検討する。企業側の負担が重くなる可能性もあることから、補助や助成の仕組みも検討する。 厚労省の推計では、106万円の壁を意識して働く人は最大で60万人。就業調整による人手不足対策として、政府は昨年10月、年収の壁支援強化パッケージを開始した。新たに厚生年金に加入した短時間労働者に対し、賃上げなどで手取りが減らないようにした企業に助成金(1人最大50万円)を支給している。ただ、2025年度までの時限的な措置だった。 部会では、厚生年金の加入要件のうち、企業規模要件(現行51人以上)と、5人以上の個人事業所の非適用業種(飲食、理美容、宿泊業、農業など)を撤廃する案も示した。【宇多川はるか】