ノジマ傘下入りが決まった「VAIO」の物作りはどうなる? 安曇野の本社工場を見学して分かったこと
同じ工場内で修理を行うことが品質向上につながる
もう1つ、VAIOの本社工場は修理拠点としても機能することも特徴だ。 VAIO PCに不具合が生じた場合、個人ユーザーは電話、Webフォーム、チャットのいずれかで相談を行える。法人ユーザーの場合は、基本的に担当営業を通して対応することになる。 修理が必要と判断された場合、VAIO指定の輸送業者が資材を持参して、対象のPCをその場で梱包して回収し、修理拠点に配送する。修理は本社工場の他、山形県と千葉県の協力工場でも実施しており、本社工場は主に新しい機種の修理を担当している。「なぜ新機種中心か?」というと、同じ敷地内にある設計部門にすぐにフィードバックできるからだ。 修理拠点に到着した本体は「入荷工程」に回され、届いた本体や付属品の情報が「修理管理システム」に登録される。この時点で「製品管理タグ」が発行され、それをもとに修理工程全体が管理される。 次に本体(と付属品)は「切り分け工程」にやってくる。不具合の状況を解析した上で、ユーザーが指摘した状況を再現したりすることで、原因の特定を行い、修理が必要な箇所を絞り込む。 修理が保証規定の範囲内で行える場合、そのまま修理が続行される。保証規定の範囲外(有償修理または補償サービスの適用)となる修理については、コールセンターがユーザーに確認を取ってから修理を進めることになる。 なお、この切り分け工程では、部品グループ(部品の管理部門)への部品の発注と、修理工程への手配も担っている。 修理を続行する場合は、次に「修理工程」に運ばれる。ここで故障箇所の部品を交換し、修理完了後の検査も実施する。 ここでの検査は、組み立て工程で行っているものと同等で、修理箇所以外も併せてチェックされる。しっかりと検査してから出荷することは、こだわりポイントの1つだ。生産拠点と同じ場所で修理できる強みを生かしている。 検査後の「出荷工程」では、修理した本体と電源コードなどの付属品、紛失防止のために別の場所で管理していた書類などを“合流”させて梱包し、ユーザーの元に返送する。 通常修理の場合、修理拠点に到着してから修理を完了し出荷するまでの期間は「5日間」だという。 VAIOの本社工場を取材して、ここ数年で法人ユーザーへの販売比率が高まったことを受けて、“高い品質”に対する取り組みをさらに加速しているということを強く感じた。 VAIO Vision+やVAIO SX14-Rといった新製品では、生産現場において新たな手法を積極的に導入し、生産性や効率性の追求だけでなく、品質の向上も実現している。 VAIOの山野社長は「本社工場での高品質な物作りは、いままでと何も変わらない」というが、それはVAIOは今後もこれからも物作りの進化に向けた取り組みを止めないという宣言でもある。 そのことを強く実感できる工場見学だった。
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