黒沢清監督 撮影現場での言語の壁を越えた奇跡的瞬間とは 映画『蛇の道』
『岸辺の旅』『スパイの妻 劇場版』などで、世界三大映画祭を中心に国際的に高い評価を得ている黒沢清監督によるセルフリメイク作品、映画『蛇の道』。この度、本作の撮影現場エピソードが明かされる、メイキング映像が公開された。 黒沢清監督が、98年に劇場公開された『蛇の道』を、フランスを舞台にセルフリメイク。監督自ら「最高傑作ができたかもしれない」と公言するリベンジ・サスペンスの完全版が誕生した。 愛娘を何者かに殺されたアルベール・バシュレ(ダミアン・ボナール)は、パリで働く日本人の心療内科医・新島小夜子(柴咲コウ)の協力を得ながら犯人探しに没頭、復讐心を募らせていく。だが、事件に絡む元財団の関係者たちを拉致監禁し、彼らから重要な情報を手に入れたアルベールの前に、やがて思いもよらぬ恐ろしい真実が立ち上がる。 この度公開されたメイキング映像は、アルベールと小夜子が事件に関与する財団の関係者を拉致するシーンの撮影風景を収めたもの。冒頭、柴咲とダミアンは英語でコミュニケーションを交わし、段取りを確認。人が入っていると思わしき袋を引きずりながら、2人は草原を駆け抜けていく。また、草木が茂る森の中では、黒沢監督自ら走って見せ、追手役の役者に指示する場面も。 朝から晩まで過酷なロケが行われることも少なくない映画制作において、黒沢監督の撮影現場は、しっかりとしたスケジュール管理のもと、俳優やスタッフの働きやすい環境が整っていることで知られている。黒沢監督の中に明確な画があるからこそ、スピーディーな進行が可能となる。舞台をフランスに移してもそのスタイルは変わらず、俳優にそのシーンの動きだけを説明し、細かい心情や芝居に関する演出をしないのもいつも通りだったという。 今回はフランスのスタッフとの撮影となったが、小寺プロデューサーは「黒沢監督が日本語で指示を出すと、通訳を介していないのに、助監督が『分かった』と指示通りのことをすることがあって(笑)。監督は『言葉が通じなくても、分かる人はいるんですよ』と。あの瞬間は人間の繋がりの強さを感じました」と、撮影現場での奇跡的な瞬間について明かした。 映画『蛇の道』は、2024年6月14日(金)より全国劇場公開。
otocoto編集部