転換期を迎えたJ-REIT、米国の利下げが示唆する投資機会
9月に米FRB(連邦準備制度理事会)が政策金利を0.5%引き下げたことによって、これまでの市場環境が大きく変化したと受け取っていいだろう。盲目的に「S&P500」にさえ投資しておけばよいとは言い切れない展開にも備えなければならないようだ。これは、ここ数年にわたって人気の圏外に置かれていた資産には、復調のきっかけになることでもある。反転の兆しが出ているJ-REITにも注目しておきたい。
J-REIT価格の低迷が続いてきた要因の1つに、米国の長期金利高止まりがあるという指摘がある。J-REIT市場は売買代金の50%~60%程度を外国人投資家が占めているため、J-REITの分配金利回りが米国10年債と比較して低い場合には、外国人投資家の売買が売り越し基調になりやすい。たとえば、外国人投資家は2024年5月に年初来最大となる642億円の売り越しとなったが、この時、米10年国債利回りは5月15日の4.34%が、5月29日には4.61%に上昇したが、この間に東証REIT指数は1808ポイントから1721ポイントに下落した。
米FRBが、9月18日に政策金利であるフェデラルファンドレート(FF金利)の誘導目標を年5.25%~5.50%という水準から0.5%引き下げることを決定し、今後も徐々に利下げを重ねる可能性が高い。米国は2020年3月にコロナ・ショックで利下げを実施して以来、4年半ぶりとなる利下げを実施した。2022年3月にゼロ%金利からの利上げに踏み出し、2023年7月に5.25%~5.50%という水準まで金利を引き上げていた。今回の利下げが、通常の調整幅の0.25%の2倍の水準になったのは、FRBが金融政策の変更を「景気の後追い」にならないよう、先回りして動くことの意志を示したものとされている。このため、今後の景気後退(リセッション)は避けられるという期待がある。利下げを機に、米国株価が上昇した背景だ。