頭はいいけど「仕事ができない人」が軽視している「仕事でいちばん大事な能力」とは
「計画通りに仕事を進めるよりも、大切な力があります」 そう語るのは、転職エージェント「キープレイヤーズ」代表の高野秀敏さん。1.1万人以上のキャリア相談、4000社以上の採用支援の経験を持つヘッドハンターであり、「現場」と「経営者」の両方の視点で、「圧倒的に活躍する人たち」と関わってきました。 その高野さんがベンチャー流の「結果を出す働き方」をまとめた書籍『ベンチャーの作法』が刊行。発売たちまち重版し、“きれいごと”抜きの仕事論に、「若手のときに知りたかった!」「現代のビジネスパーソンの必読書だ!」と、SNSでも多数の感想が投稿されるなど異例の反響となっています。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「頭のいい人ほど軽視する仕事のスキル」についてお伝えします。 ● ベンチャーの日常は「無茶振り」だらけ どんな状況でも、どうにかして結果を出せないか試行錯誤するのが仕事というものです。 「納期まであと2日なのに、社長の意見でデザインが変わった」 「やったこともないのに、新商品のLP開発をいきなり命じられた」 「プロモーション担当なのに、SNSで採用募集もしてくれと頼まれた」 ベンチャーでは、こんな無茶は日常茶飯事です。 これらの無理難題をなんとかこなしていく「調整力」は、とても大事なスキルです。 ● 入社4年目で受けた「無茶振り」 インテリジェンス時代、経営者である宇野さんから、ある仕事を「無茶振り」されたことがあります。 それは人事部に異動してまだ間もない頃でした。 自社のユーザーにアンケートをとった結果、土日にもキャリア相談に対応してほしいとの要望が多く見られました。 当時のインテリジェンスは土日休みでしたが、ユーザーファーストの精神から、個人のキャリア相談に乗るコンサルタントは土日も出勤するシフト制にすると、宇野さんは決断しました。 その決定をみんなに納得してもらうようにと、人事部に所属していた私に「無茶振り」されました。 「土日休みという条件で採用しているのだから、そんな無理を言われても……」 みんなが怒ることは確実でしたから、私は愕然としました。 結果としては、調査会社を活用して、自社のユーザー以外にも土日に相談したい人は多いと示し、「それがユーザーの希望である」「土日にも相談可能となればユーザーも増えるだろう」と伝えて、シフト制に納得してもらいました。 無事に切り抜けられたからよかったものの、入社4年目の人間にこんな無茶を丸投げするのかと、ベンチャーの怖さを思い知った経験です。 ● 仕事なんて結局は「なんとかする」こと すべての仕事は、結局は「なんとかする」ことです。 たとえ予定と違ったとしても、辻褄を合わせて、良い感じにまとめる。 この力を、頭の良い人ほど軽視していたりします。 「緻密な調査をおこない、確度の高い計画を立てて、詳細なスケジュールをつくって慎重に進めれば、締め切り間際で慌てないのに。これこそ仕事ができる人だ」 社内の慌ただしい人の様子を見て、こんな正論を吐いたりします。 当然正しくはありますが、これは理想論です。 お利口なやり方では、日々、予想外なことが起きるベンチャーの世界では通用しません。 社長の無茶振りを打ち返して、最終的には良い感じに仕上げる。 そんな調整力こそ、結果を出すためにもっとも求められる能力なのです。 (本稿は、書籍『ベンチャーの作法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です)
高野秀敏