月城かなと「“悔しさ”の先を考える」宝塚男役トップスターの人生で学んだこと
圧倒的な美しさと気品あるたたずまい……魅惑的な宝塚男役トップスターとして活躍した月城かなとさん。これから新しい世界で、俳優として、アーティストとして、その一歩を踏み出した月城さんに今の思いをインタビュー。宝塚時代のお話、そして退団後に思ったこと、これからの道。ご自身の言葉でたっぷりと語ってくださいました。 写真多数!月城かなとさんインタビューフォトギャラリー
――退団されて約4カ月。今の心境をお聞かせください! あっという間でした。東京に引っ越してきたことなど、生活環境が変わったことが大きくて。それに慣れようとしている最中という感じです。 自分の生きる環境を大きく変えることって、なかなかないですよね。私は高校一年生の終わりに音楽学校に入ってから、自分の意思で身を置く環境を変えるという経験がなかったので、人生の中でもそうそうあることではない“大きな変化の時”を過ごしているのだと思います。 ――月城さんの笑顔が眩しいので、きっと楽しい毎日を送られていることと思います。 今までは用意された環境の中で自分がどういうふうにいたらいいか、という感じだったので、今は楽しい気持ちを持つと同時に、自分が変えずにいたいことは何だろうというのを考えます。 働き方もそうですが、これからいろんなことを自分で選択して生きていかなくてはならないので、どんな自分でいたいのか、自分がやりたいことは何だろう、というのを模索しているところです。 ――月城さんは宝塚時代も、品のある立ち居振る舞いが美しく、お芝居もすごく巧みな印象でした。ご自身が考える“強み”を教えてください。 ありがとうございます。宝塚でやってきたというのは私にしかない個性なので、それをなくす必要はなくて、これからはそこに何かをプラスしていかなければと思っています。そこからいい変化をしていくことが必要。 諸先輩方がすごく長い時間をかけながら、それぞれが努力されて道を見つけられているのを見ると心強くもありますし、自分も舞台で学んできたことを生かしつつ、どんなことができるのか、探していかないといけないと思っています。 ――そういうことはどなたかにご相談されたりするのでしょうか。 あまり誰かに相談するタイプではないんです。相談したくない、というわけじゃなくて、簡単に言葉にできることじゃないと思っているので……あまり軽々しく話せないなって。でも、尊敬する先輩方はたくさんいらっしゃって、その方々の生き様を拝見していると、頑張らないといけないなと勇気をもらいます。 ――目標にされている俳優さんなどはいらっしゃるのですか? ジャンルを問わずに活躍されている方です。たとえば、舞台出身の方が映像でも活躍されているとか、声優さんで吹き替えもたくさん担当されていながら映像も舞台もできる方とか。基礎となるものがまったく違うはずなのに、それを両立されているのがすごい!と思います。 ――月城さんの“座右の銘”は何でしょうか。 これが座右の銘、というのは特にないんです。でも、ありがたいことに「自分の実力以上にやらないといけない」という環境に身を置かせていただくことが今までとても多くて、そうなったときに「私にはできないかも」という気持ちが先に来ると本当にできなくなってしまうんです。できないのはわかっている――それをちゃんと理解したうえで、そこに向けて必要な努力って何だろうというのを考えます。 「どうしてできないんだろう」という方向に考えてしまうと、それより先に行けない気がして……。できないことが悔しくなって止まってしまわずに、必要なものは何だろうと考えたほうがよい気がします。 できないことに対して同じ当たり方を何度繰り返しても、そのときは多分乗り越えられないから、真っ向から当たり続けるというのはあまりしないです。とくに本番までの日程が決まっていると、スピード感が重要なんですよね。なるべく遠回りはしたくないから。 【月城かなと】 1990年12月31日生まれ、神奈川県出身。2009年に95期生として宝塚歌劇団に入団、ノーブルな立ち居振る舞いに圧倒的な美貌、芝居の巧みさで2021年に月組男役トップスターに就任。2024年7月に惜しまれながら退団。主な代表作に『今夜、ロマンス劇場で』や『グレート・ギャツビー』、『ブラック・ジャック 危険な賭け』『応天の門』など。予定されている出演作にコンサート『de ja Vu』(2024年11~12月大阪・神奈川)がある。11月17日よりオフィシャルファンクラブ「KANATO TSUKISHIRO OFFICIAL FANCLUB」をオープン。 ベスト¥132000/ロゥタスカスタマーサービス(ロゥタス) ブラウス¥31900/ボウルズ(ハイク) イヤーカフ¥492800、イヤリング¥1006500、リング¥1068100/TASAKI その他/スタイリスト私物 〈問い合わせ先〉TASAKI 0120-111-446 ボウルズ 03-3719-1239 ロゥタスカスタマーサービス 03-6231-0897 撮影/大塚三鈴 ヘア&メイク/AYA スタイリスト/青木千加子 取材・文/前田美保