パリ進出のヘラルボニー、松田Co-CEO「障害という言葉なしで商品が買われるように」
知的障害のある作家が描くアート作品に関するIP(知的財産)ビジネスを展開する「ヘラルボニー」(本社・盛岡市)はこのほど、パリに新たな拠点を設けるなど、本格的な海外進出に乗り出す。創業から6年。「第二創業」と位置づけるこれからの事業展開などについて、Co-CEOの松田文登氏に聞いた。 【画像】「キュニキュニ」と名付けた「E」みたいな文様で作品を描く木村全彦さんと作品「キリン2」
松田文登(まつだ・ふみと)
株式会社ヘラルボニー代表取締役Co-CEO ゼネコン会社で被災地の再建に従事、その後、双子の弟・松田崇弥氏と共にへラルボニーを設立。4歳上の兄・翔太さんが小学校時代に記していた謎の言葉「ヘラルボニー」を社名に、福祉領域のアップデートに挑む。ヘラルボニーの営業を統括。岩手在住。世界を変える30歳未満の30人「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」受賞。
――御社は最近、フランスに拠点を設けました。どんないきさつがあったのですか。 パリに子会社である「HERALBONY EUROPE(ヘラルボニーヨーロッパ)」を今年7月に設立しました。オフィスは「Station F(スタシオン・エフ)」という施設にあります。ここは元々駅だったのがヨーロッパで最も大きいスタートアップ拠点に改装され、GoogleやLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンなどが支援するスタートアップも入居しています。 昨年、経済産業省とJETROが主催する起業家の海外派遣プログラム「J-StarX」に弊社が選ばれまして、双子の弟でCo-CEOの崇弥がStation Fに行ったことがあったんですね。崇弥はすごく感動して、入居したいと思っていたのですが、今年5月に世界各地の革新的なスタートアップを評価する「LVMH Innovation Award 2024」のファイナリストに弊社が選ばれて、Station Fに入居できる権利がもらえたんです。夢がかなった形になりました。
――HERALBONY EUROPEは、やはりフランスの知的障害のある作家と契約を結び、日本と同様のIPビジネスを展開するのでしょうか。 そうですね。私たちはアートのIP事業ですので、原画も販売したいという場合は原画も含めて、色んな形で知的障害のある作家が描くアート作品とのタッチポイントを作っていきたいと思っています。 すでに海外の企業からもヘラルボニーとの契約を検討してくれるところが徐々に増えてきていて、先日はオーストラリアの大きな企業からお話がありました。ただ、結局この会社との話はうまくいかなかったのですが、その理由が、私たちが契約している作家の中にオーストラリアの作家がいなかったからなんです。 オーストラリアの企業であれば、オーストラリアの作家を推していきたいのは当然のことですし、そう思ったときに、世界の作家さんにヘラルボニーがアクセスしている状態を作っていきたいなと考えたんですね。 ――なるほど。ということであれば、HERALBONY EUROPEは、拠点はパリにありますが、フランスに限らず、ヨーロッパ全土の作家さんが対象になり得るわけですね。 おっしゃるとおりです。