将来的に、会社員の「年末調整」が廃止に!? もしなくなったらどうなるの?“メリット・デメリット”を解説
年末調整の廃止は会社員にどのように影響するのか
もし年末調整が廃止されたら、給与所得者の全員が自分で確定申告することになります。今までも、何らかの事情で年末調整できなかった人は自分で確定申告しますが、基本的にはこれと同じです。年末調整廃止の影響を、「現行の仕組みのままの場合」と「行政と民間のデータ連携が進む場合」に分けて紹介します。 ■現行の仕組みのままの場合 所轄の税務署に出向いて書類に手書きして確定申告することもできますが、インターネットの「国税庁 確定申告書等作成コーナー」を利用する方法が便利です。 年末調整で勤務先に提出していた書類(民間保険の控除証明書など)、勤務先が発行した「令和〇年分 給与所得の源泉徴収票」、還付を受ける場合の銀行口座情報、扶養している家族全員の個人番号(マイナンバー)などを手元にそろえ、入力します。 スマートフォンで「国税庁 確定申告書等作成コーナー」を利用する場合、給与所得の源泉徴収票をカメラで読み取ったり、企業・団体が源泉徴収票や控除証明書などを電子化(XMLファイルで発行)している場合、「デジタル庁 マイナポータル」でXMLファイルを取り込み「国税庁 確定申告書等作成コーナー」に反映させたりすることも可能になっています。 20年以上の歴史がある「国税庁 確定申告書等作成コーナー」は改良が蓄積されていますが、「デジタル庁 マイナポータル」は発展途上の段階です。現行の仕組みのままで年末調整が廃止された場合、機器や通信などの環境面、ITリテラシーなどを考えると、給与所得者の中には自力で確定申告できない人もいると思われます(年末調整してもらっているパートタイマーなどを含みます)。 ■行政と民間のデータ連携が進む場合 勤務先の「給与所得の源泉徴収票」や民間保険の控除証明書などの電子化が進み、必要な書類すべてをXMLファイルで「デジタル庁 マイナポータル」に取り込めるようになると、確定申告作業の手間や誤りは激減するでしょう。 最終的には、マイナポータル経由で確定申告書等作成コーナーにログインした段階で、確定申告に最低限必要な内容が自動登録されていて、大部分の納税者(内容の追加、削除、選択が不要な人)は、これらを確認、承認するだけで作業完了、という形が望まれます。