将来的に、会社員の「年末調整」が廃止に!? もしなくなったらどうなるの?“メリット・デメリット”を解説
2024年9月の自民党総裁選で「年末調整の廃止」を掲げた候補者がいました。本記事では、そもそも年末調整とは何なのか、将来的に年末調整が廃止になった場合は会社員にどのように影響するのか、考えられるメリット・デメリットは何かについて解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
所得税と住民税、源泉徴収と年末調整
はじめに、所得税と住民税の違い、所得税の源泉徴収と年末調整について説明します。 ■所得税と住民税 所得税は、個人の1年間(1月から12月まで)の所得(収入から経費などを引いたもの)に対してかかる国税です。「申告納税制度」という仕組みであり、納税者自身が税務署へ申告することで税額が確定し(確定申告)、自ら納税します。 原則は全員確定申告ですが、給与所得者のうち年末調整によって納税や還付が完了する人は、確定申告不要です。 他方、住民税は、道府県民税、市町村民税であり、所得税の確定申告(または年末調整)、住民税の申告などを基に行政機関が税額を決定する「賦課課税制度」という仕組みです。 ■源泉徴収とは 所得税は申告納税制度が原則ですが、給与所得など一定の所得には「源泉徴収制度」も採用しています。所得税の源泉徴収制度は、給与の支払者(勤務先)が、雇われて働く人(給与所得者)本人の給与から所得税をあらかじめ差し引いておき、本人に代わってまとめて納税することをいいます。 ■年末調整とは その年の分の所得税額は、年末にならないと正確に計算できません。12月支給予定の給与や賞与を含めた計算の結果、源泉徴収額が所得税額を超えることになれば、超過分を12月の給与などで還付し、不足となれば12月の給与などで源泉徴収して精算します。この一連の精算手続きのことを、年末調整といいます。 給与収入が2000万円を超えた年などは年末調整の対象外となり、確定申告が必要です。また、年末調整をしても、年末調整で対応できない内容を申告したい場合(医療費控除など)、確定申告が必要です。勤務先から得た給与以外に申告すべき所得がある場合なども、原則として確定申告が必要です。 まとめると、一般的な会社員の場合、所得税の源泉徴収→所得税の年末調整→一部の人は所得税の確定申告→翌年度分の住民税の決定、という流れになります。