手動計時ながら、5000mで自己ベスト大幅更新 名城大の駅伝連覇阻止へ、立命館大・太田咲雪「これを自信に」
トラック・ロードともにルーキーイヤーから実力を発揮
高校時代からの先輩にあたる村松の陰に隠れがちだが、太田も地力があり、確実に成長しているランナーだ。ルーキーイヤーの昨年は関西インカレ女子1500mで優勝、5000mでは4位に入った。どちらかというと1500mで力を発揮する印象もあったが、U20日本選手権では5000mで野田に続く2位で、当時の自己ベストだった16分06秒47をマーク。長い距離への適応能力も見せてきた。 駅伝でもチームの主力を担ってきた。デビュー戦となった全日本大学女子駅伝では2区を任され、村松からトップで襷(たすき)を受けて区間賞の走りを披露。昨年末の全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)は1区で、トップと4秒差の区間3位と好走した。トラックだけでなくロードでも強さを発揮し、今年2月に福岡で開催された日本選手権クロスカントリー競走の女子8kmでは大学生トップの5位に入った。 2年目のトラックシーズン、関西インカレ女子5000mでは村松に及ばなかったものの、今回の学生個人では先着した。「一緒の練習をすることも多くて、記録と勝負強さを持っておられる方なので、勝てたことは自信になります」と語る一方、2学年先輩の主将には尊敬のまなざしを向ける。「ずっと近くで見てきて、本当にお手本というか、ついていきたくなるキャプテンだなと思います。普段からチームにマイナスの雰囲気が漂わないように導いてくれますし、不安を払拭(ふっしょく)するような言葉がけもしてくれます。その言葉通りの行動を、自らやっておられます」 太田自身はまだ「チームを引っ張る」と言えるほどの自信を持ち合わせていないようだ。この日のレースも「中盤に出ようかな、と思ったんですけど『そしたら、ラスト持たへんかもしれない』という不安もあって……。そういうのをなくしていって、周りのことも見られるようにならないといけないです」。
駅伝は「ベストの状態で挑めたら、結果は出る」
駅伝シーズンでは、今季もチームに大きな力をもたらすだろう。全日本大学女子駅伝7連覇、富士山女子駅伝6連覇中の名城大学にどうしても注目は集まるが、太田は昨年以上に手応えがあると語る。「昨年は、一緒に走る他のチームの選手の方が早いタイムを持っていることが多くて不安なところもあったんですけど、今回ベストを出せたので、駅伝を走る時もこれを自信にできると思います」 心強い仲間も加わった。立命館宇治高校からは昨年の全国高校駅伝で3位に入ったメンバーの池田悠音と山本釉未のほか、高校2年時にU20の世界クロスカントリー選手権日本代表に選ばれた古田島彩(1年、白鵬女子)も入部。「今年は特に1回生が強いんですけど、上回生も持ちタイムが速かったり、本番に強かったり。すべての学年に均等に力のある選手がいるので、質の高い練習ができています」 名城大が続けている連覇を止め、全日本は2015年、富士山は2017年以来となるとなる優勝へ。「今年はベストの状態でみんなが挑めたら、絶対に結果は出ると思います」と力強く語った。
2024日本学生陸上競技個人選手権大会 女子5000m決勝
6月15日@レモンガススタジアム平塚(神奈川) 優勝 サラ・ワンジル(大東文化大2年)15分42秒8 2位 太田咲雪(立命館大2年)15分47秒1 3位 村山愛美沙(東北福祉大2年)15分51秒0 4位 野田真理耶(大東文化大2年)15分51秒2 5位 石松愛朱加(名城大3年)16分04秒4 6位 村松灯(立命館大4年)16分06秒9 7位 石川苺(城西大2年)16分13秒8 8位 永長里緒(大阪学院大4年)16分16秒0 ※写真判定機不具合のため手動計時
藤井みさ