これぞ「弱虫ペダル」の世界 ロードレース、何から始めればいい? 初心者向けの大会もある【元全日本王者が解説】
自転車競技は競輪などのトラック競技と、一般道を走るロードレースに分けられる。ロードレースはチームの各選手が役割を全うする中で生まれるドラマや、終盤のデッドヒートが大きな魅力。その模様は人気作品「弱虫ペダル」でも描かれ、心が熱くなった人も多いだろう。 【フォト】浅田さんの学生時代・現役時代の貴重な写真 今回はロードレースにおいて1990年に全日本チャンピオンになり、本場・フランスでプロとしても活躍した浅田顕さんに、ロードレースを始めるためのイロハを語っていただいた。
自転車はレンタルでOK。まずは自分に合うか確かめよう
――ロードレースに興味を持ったら、まず何から始めればいいですか? 「まずはスポーツサイクルに乗ってみるのが一番ですね。いきなり自転車屋さんで購入するのはハードルが高いですし、自分に合う・合わないもあると思うので、レンタサイクルがおすすめですね。まずはレンタルで借りてみて、乗り方を教えてくれるサイクルショップなどで教わりながら、一度乗ってみるといいと思います。慣れてきたら長距離を走ってみて、自分に合うかを試してみましょう」 ――ウェアはどういったものがよいですか? 「最初は運動靴に短パン、Tシャツでいいと思いますけど、慣れてくるとだんだん邪魔に感じることもあると思います。もっと体にフィットしたものがいいとなると、専門的なウェアの購入が視野に入ってきますね。ネットでも買えますけど、やはり専門のショップがいいと思います。あとは専用のシューズもあるので、それを履けばペダルを漕ぐときに力のロスも減りますし、ペダルから足が外れてしまうこともないです。徐々にギアをアップデートさせて、モチベーションを上げるのもいいでしょう」 ――実戦経験を積むにはどうすればいいですか? 「個人登録で参加できるサイクリング大会や、ホビーロードレースなどに出場するのがひとつです。ホビーレースとは、本業を持ちつつ趣味でロードレースを楽しむ人のためのアマチュアレースです。レベルはさまざまですが、出場者に合わせてレベルや競技がカテゴリー分けされていることが多いので、初級者向けのものをチョイスするといいと思います。まずは完走を目標にしてみましょう」 ――記録を狙いたい場合におすすめのレースは? 「峠を走るタイムを競う『ヒルクライムレース』というものがあって、これは自分との戦いです。人との競争はもちろんですけど、自分のタイムを測って、過去の自分との比較で伸ばしていくのもいいでしょう。次に目指すべき記録の参考になりますから、モチベーションも上がるはずです」 ――レースの距離はどのくらいですか? 「初心者向けだと10km~20kmが目安ですね。ただ、レースだととにかく漕ぐスピードが速いので、最初からレースに出るよりはサイクリング大会など、競争ではないイベントに参加してみて、やっぱり自分は競争がいいなという人は、競技系のレースに移るといいと思います」
浅田顕(あさだ・あきら) 株式会社シクリズムジャポン代表取締役、ロードレースチーム「エキップアサダ」代表。1990年、全日本プロ選手権自転車競技大会で優勝。欧州プロチームと契約を結び、ロードレースの本場・フランスでも選手として活動した。1996年に現役を引退してからは監督・コーチ、チーム運営に注力しており、東京2020オリンピックではロードレース日本代表の監督を務めた。現在は世界でプロとして活躍する日本人を輩出するべく「ロード・トゥ・ラグニール(RTA)プロジェクト」を推進している。
取材・文/森本雄大 写真提供/浅田顕