安井建築設計事務所が100周年の記念に「まちなか展」開催。東京・大阪それぞれを代表する名建築、サントリーホールや大阪倶楽部などが見学できる!
「東京国際クルーズターミナル」は、増加する大型のクルーズ客船に対応するためにつくられたもの。さまざまな大きさの客船に対応するため自由度の高い大空間を持つことが特徴だ。そうした開かれた場所に展示をするので、展示を見ながらデッキに出て、クルーズ客船を眺めるといった楽しみ方もできるという。
また、「みらいステップなかの + 中野東中学校」は、中学校と図書館、子ども・若者支援センター、教育センターの複合施設。「多様性」と「知の集積」を本や本棚をモチーフに表現したデザインを各所に取り入れているので、そうしたものを見つけていくというのも楽しいだろう。7~9階が図書館になっているが、7階の「こどもフロア」には、小上がり(居室の中に設けられた、段差で区切られたスペース)があるなど、普通の図書館のイメージを覆すという。
安井建築設計事務所を知ってもらう場でもある「まちなか展」。今回で最後?
まちなかにある同社の作品を見て回る「まちなか展」だが、訪れた人に安井建築設計事務所を知ってもらう場でもある。 「江古田キャンパスでは、今進行中の小学校や高校といった同じ教育関係の施設や図書館などの建築の展示もする予定です。そういう展示を通して、安井建築設計事務所がどういうことを考えているのかが伝わればと思っています」(髙野さん)。 「中野の図書館に普段来ている人も誰が設計したか、どんな思想で設計したかまではわからないと思うんです。何気なく図書館に来た人が展示を通して、安井建築設計事務所ってこんな会社なんだと知っていただけばと思います」(生沼さん)。 では、「まちなか展」は今後も継続して開催されるのだろうか? プロジェクトに参加した名古屋については、今回開催がないので、名古屋をはじめ同社のオフィスのある九州や海外の台湾やベトナムなどで開催する可能性はあるが、ここまでの規模のものは、100周年事業でなければ難しいだろうという。 たしかに、今回の「まちなか展」では、対談・トークセッションやワークショップが開催されるが、5つのグループのうち「講演・・WSグループ」が、展覧会の趣旨をくんで企画したものだという。「WEBグループ」が作成した「100周年特設サイト」で展覧会の告知をし、会場で流れる動画は「動画グループ」が作成したものを会場で流すといった、各グループが連携しているのも、100周年事業ならでは。100周年記念事業の最後として、2025年秋に『建築画報』で100周年特集号が出るが、これは「雑誌・出版グループ」の取り組みの一環だ。 ということは、ここまで充実した「まちなか展」を楽しむ機会はそうはないのだろう。ぜひ、この機会に見学してほしい。プロジェクトのメンバーは、いま、どれだけの来場者が訪れるかドキドキしていることだろう。 ●関連サイト 安井建築設計事務所「100周年特設サイト」 安井建築設計事務所「まちなか展」開催のお知らせ
山本 久美子