悪コンディションで難しい試合展開も勝つことを重視。“1-0で勝ち切れる”西目が夏冬連続全国出場へ王手:秋田
[10.19 選手権秋田県予選準決勝 西目高 1-0 大曲工高 ソユスタ] 12年ぶりの選手権出場へ、西目が秋田準決勝突破。第103回全国高校サッカー選手権秋田県予選準決勝が19日に秋田市のソユースタジアムで行われ、夏冬連続の全国大会出場を狙う西目高と大曲工高が対戦。西目が1-0で勝ち、26日の決勝(対秋田商高)へ進出した。 【写真】伊東純也ら欧州組9選手の秋冬コーデに大反響「黒髪もステキ」「これはずるい」「まじ俳優レベル」 第1シードの西目は、14度目の選手権出場をかけた県予選。準決勝は、GK成田晃也(3年)、DFは右から三浦樹(2年)、吉田碧(3年)、堀田昊生主将(3年)、佐藤快斗(3年)の4バック、中盤中央で司令塔の鈴木蒼士(3年)と西澤陽(3年)がコンビを組み、右SH浅野彩斗(2年)、左SH佐藤琉(2年)、FW今野悠護(3年)、佐藤一汰(2年)の11人が先発した。 一方の大曲工は、第4シードの新屋高を下し、7年ぶりの準決勝進出。準決勝の先発は、GK大久保健吾(2年)、右から坂本光希(3年)、梶原愛翔(3年)、戸島輝星(1年)、高橋大貴(2年)の4バック、ゲーム主将MF福田遥人(3年)がアンカーを務め、インサイドハーフが高橋桐生(3年)と竹村漣飛(2年)、前線は右に高橋舜平(3年)、左に石川雄仁(3年)、中央に飛澤春之介(2年)が入る11人だった。 強い風雨の中で行われた一戦は前半12分、西目が左FKから先制点を奪う。「昨日のセットプレーの練習の時から相手のラインが低いっていう話だったんで、GKの方を狙って。雨ですし、GKの方狙って蹴っていけば、何か事故起きて入ったりするんじゃないかなと思って狙っていきました」という佐藤快の絶妙な左足クロスを、吉田がDF2人の頭上で合わせてゴールネットへ突き刺した。 幸先よく先制した西目だが、この後、行き切れない展開となってしまう。安田洋平監督は「スリッピーなグラウンドと風があるよっていうので、色々こう気を付けなきゃねって言ったのが、何か結果として臆病になってしまった」と指摘する。守備の局面で奪い切ることよりも、相手に行かせないことを重視してしまっていた。また、奪ったボールを堀田や三浦から素早く前線に入れて速攻に結びつけていたが、相手に寄せられていない状況でボールを蹴ってしまう場面も多く、前線と後方が間延び。切り替えも遅れる形となり、大曲工に攻撃を許してしまう。 大曲工は福田の展開力や高橋桐の運ぶ力を活用。右サイドの俊足ドリブラー、高橋舜のクロスやセットプレーでゴール前のシーンを作り出した。西目も佐藤一が前線で力強い動きを連発。33分には、佐藤快の左足ミドルがクロスバーを叩く。40分には今野との連係から佐藤一が右足シュートを放ち、後半3分にも今野との連係で佐藤琉が左サイドを抜け出し、ラストパスに佐藤一が走り込んだ。だが、大曲工GK佐々木に阻まれるなど追加点を奪うことができない。 大曲工は後半5分、高橋桐のスルーパスに高橋舜が反応してPAわずか外側の位置でFKを獲得。これを高橋桐が左足で直接狙い、18分にも右サイドで高橋舜が3人のDFを外してPAへ潜り込もうとした。だが、西目は安田監督が「ウチのウリ」と説明する堀田、吉田の両CBが最後の局面で落ち着いてフタをし、西澤がセカンドボールを回収するなど決定打を打たせない。 西目は後半8分にFW畠山佑斗(3年)、同21分にFW伊藤蓮(3年)をピッチへ送り出す。サイドから仕掛けて浅野や佐藤琉がシュート。また、鈴木の正確な展開からのサイド攻撃に加え、前線の伊藤へグラウンダーの縦パスを入れて攻めようとする。 佐藤快が「攻撃は今までサイドが多かったけれど、夏、神村(学園)さんとの試合が終わってからしっかり話し合って、中央突破とかも自分たちでチャレンジしていって、いい感じでできている」と説明するように、インターハイ初戦敗退から、チームは攻撃のバリエーションを増やしてきた。 この日は普段に比べるとリスクを回避するような戦いになってしまったが、悪コンディションの中でも勝つことが最重要。安田監督は「この子たちは経験があるんで。自分たちでも『このゲーム悪いな』って思いながらも、『じゃあ、最後1-0で勝ちゃいいや』っていうのはある程度割り切ってできるので、そこら辺は信頼してるので。『最後まで守るぜ』、となったらできる子たちだっていうのは、今年はある程度自信を持っている」という。 吉田も「安田監督も仰っていたと思うんですけど、スコアはまず置いといて、勝つことが大事だから。1点差でも、延長でも、PKでも、とにかく勝ち切るっていうみんなの共通意識だった」。大曲工は後半35分に高橋舜がドリブルシュートへ持ち込み、40分には左クロスの折り返しのこぼれに坂本が反応。だが、西目はGK成田と堀田が猛然とプレッシャーをかけ、シュートはニアポストを叩いた。慌てずに守っていた西目が1-0で勝利。ライバル・秋田商との決勝へ駒を進めた。 堀田は決勝へ向けて、「今年、チームは怪我人多い分、やっぱり頑張らなくちゃいけない。2年生も多く出ていますけれど、全員で盛り上げて、怪我してる人たちの分も優勝して、全員で全国行きたいなって思います。選手権でベスト16っていうのが目標ですけど、まず目の前の秋田県を突破できるように」と力を込めた。主軸で選手権予選を欠場している選手がいる一方、10番FW嵯峨聖央(3年)は決勝で復帰の可能性。1-0で秋田商に勝ったインターハイ予選決勝に続いて今回の決勝も勝ち切り、2012年度以来の選手権出場権を獲得する。