日本のウェルネス市場拡大へ 大谷翔平や大坂なおみも愛用する「ハイパーアイス」とは
日本のリカバリー産業をどう見るか
本国のハイパーアイスによると、2023年のマッサージガン市場は5億4260万米ドルと評価されており、今後数年間で10億米ドルをはるかに超えると予想されている。日本を含め「世界中の消費者が長寿、セルフケア、ウェルネスを意識するようになり、そのようなライフスタイルが多くの人にとって身近になるにつれて、リカバリー産業が飛躍的に成長するだろう」とハイパーアイスも期待する。 現時点におけるハイパーアイスの日本展開は、家電量販店など全国約100店舗。堅調に拡大しているが、国内のブランディングに課題があったという。 「これまでは“マッサージガンのブランド”として売られ、競合のマッサージガンと比較した一覧の表では価格や重さで比較されていたが、そうなると“ただ高い”“ただ重たい”という見え方になってしまう。また、ただのマッサージガンではなく『振動や温熱で体全体をリカバリーしていくトータルのフィットネスプロダクトブランド』として売り出したかった。その課題を解決したかったと聞いている」(アルコインターナショナル担当者) たとえば、看板商品のハイパーボルトは肌の表面からの振動の深さを指すストロークが高く、最も小型の「ハイパーボルト ゴー 2(Hypervolt Go 2)」でも10ミリのストロークを実現。競合ブランドでは頭皮や顔にも使えると謳っている商品が多い中、ハイパーボルトはストロークが深いが故には頭皮や顔への使用を禁じている。 「製品自体の重量にも意味があり、それをちゃんと説明していけば広がっていく」。競合他社にはない高い機能性をしっかり発信することで、“マッサージガンのブランド”に留まっていたブランドイメージを一新したい考えだ。
日本はアジアの中でも「重要な国」
ここまでの説明で、ハイパーアイスはアスリート向けのイメージが先行するかもしれない。だが、本国では腰痛改善や身体のリラックスのための“ウェルネス商品”として一般層にも浸透しているのだという。日本では一般層の認知はまだ広がっていないものの、ハイパーアイスの本国チームは日本市場を「インターナショナル領域での成長にとって重要な国」と位置付ける。 「日本はすでにその伝統として、温泉や森林浴、瞑想など、ウェルネスの概念を取り入れている。ハイパーアイスのテクノロジーはウェルネスへの意識を強化し、すべての人にとってウェルネスをより身近で便利なものにすることができる」(米国ハイパーアイス担当者) 先日開かれたアルコインターナショナルでの展示会では大手企業の来場もあり、手応えを感じたという。今後は家電量販店以外にスポーツショップやゴルフショップ、学生スポーツ、ジム、リゾート、ホテル、医療施設関連の売り場にも卸していきたい考えで、ポップアップショップの出店も検討。販路を広げることにより国内でのブランド認知拡大を目指す。アルコインターナショナルが得意とするSNSマーケティングにも本腰を入れていく。 アルコインターナショナルの担当者は、「スポーツの中でも“速く走れる”や“グリップ力が高い”といったパフォーマンスの部分に目を向けられがちだが、スポーツを行う前のリカバリーウォーミングアップへの意識がまだ浸透していないように感じる。健康に長くスポーツを楽しむために、まずは身体をケアしていくという部分でこのハイパーアイスはかなり理想的なブランドだと思っている」と自信を示し、日本展開拡大に意欲を示した。