米国で好調な大型SUVに注力、課題は日本と中国、タイ 毛籠勝弘・マツダ社長兼CEO
── より大型のSUV(多目的スポーツ車)にも注力しています。 毛籠 「CX-60」「CX-70」「CX-80」「CX-90」の4車種を「ラージ商品群」として展開しています。通常の2倍くらいの収益単価があり、次の10年で育成していくことに取り組んでいます。マイルド・ハイブリッド(簡易型ハイブリッド)やプラグインハイブリッドを搭載したタイプも選択が可能です。 ── ラージ商品に関する成果は。 毛籠 最大市場の北米では順調です。北米の(マツダ全体の)販売台数は2年前が40万台、昨年が50万台、今年が60万台に向けて頑張っています。SUVのCX-50とCX-90が販売の成長と収益性をけん引しています。12年にCX-5を投入して、SUV市場に本格的に参入しました。SUVはそれ以前にもあったけれど成功していなかった。CX-5を出して初めてグローバルに成功をつかみ、CX-80などが派生して、米国では年を追うごとにSUVの販売台数が増えていきました。 ◇日本の美意識を反映 ── ブランド価値を重視しているようですが、マツダのブランド価値とはどんなものですか。 毛籠 一番大事なことは顧客から、マツダを「買いたい」「使っていたい」「関わっていたい」という思いを持ってもらうことです。近年では北米や欧州ではマツダのデザイン、品質、私たちが「人馬一体」と呼んでいる走行性が高く評価されています。米国の「コンシューマー・リポート」におけるブランドランキングでトップ(21年自動車ブランド別総合ランキング)の評価を得ています。 ── デザインはマツダ車の強みだと思いますが、どのように維持、強化しますか。 毛籠 高く評価される理由は深く掘り下げたテーマがあることです。重視しているのが「日本の美意識」です。これを反映させるために、手間がかかる工業用粘土で繰り返し作業を重ねた上で、デザイナーと金型を製造するメンバーが共同してミクロン単位の精度で仕上げていく。こうしたプロセスは他社にはないと思います。デザインのテーマとそれを作り込む力、この二つがマツダ車のデザインを際立たせると思います。