米国で好調な大型SUVに注力、課題は日本と中国、タイ 毛籠勝弘・マツダ社長兼CEO
── 社長就任から1年あまりです。この間の手応えや見えてきた課題とは何でしょうか。 毛籠 当社は2022年11月に「2030年の経営方針」を打ち出しました。カーボンニュートラル(炭素排出実質ゼロ)や電動化をどう進めるのかが最大の課題です。当社では30年までに3段階で取り組みます。第1段階(22~24年)では、移行準備として取り組む期間、第2段階(25~27年)が電池調達やバッテリー技術開発の強化、第3段階(28~30年)ではバッテリーEV(電気自動車、BEV)の本格導入や電池生産への投資に取り組みます。 社長就任後の手応えとしては、かなり多くのことに着手して技術面での準備はできてきました。体制面では、通称「eマツダ」と呼んでいますが、電動化事業本部を昨年11月に発足をさせました。いま約300人の規模です。この部隊が27年をめどに自社製の電動車専用のプラットフォームを開発しています。 ── 電動化への進捗(しんちょく)状況は。 毛籠 当社は「マルチ・ソリューション」という方針を掲げて、内燃機関を組み合わせたソリューション(ハイブリッド車など)を展開しています。BEVに関しては、30年に世界販売の比率を25~40%の幅で普及するとの想定です。電池についても、パートナー企業との関係を確立して、30年までに必要な電池の量はほぼめどを付けました。 ── 各地域でみた電動化の動向はどうでしょうか。 毛籠 市場ごとで進展に差があります。欧州は電動化に熱心な市場で、マツダでは販売の約8割は電動車です。一方、米国では2割くらい。中国が本格的な電動化が最も進む市場です。BEVと(プラグインハイブリッド車などの)新エネルギー車で電動化の販売比率が5割くらいに進展しています。パートナー企業である長安汽車と一緒にモデルを開発してきて、今年の10月からマツダ・EZ-6という名前で、BEVと新エネルギー車を中国で予約開始しました。