「唾液でPCR検査」愛知でも積極導入 大村知事が定例会見
愛知県の大村秀章知事は8日、愛知県庁で定例記者会見に臨んだ。新型コロナウイルスの検査について、唾液を使ったPCR検査の体制整備を県内で進めていく方針などを明らかにした。 愛知県・大村知事が定例会見(2020年6月8日)
3日から一部で導入、順次拡大へ
愛知県のPCR検査は、県内50カ所の帰国者・接触者外来に加えて、先月以降は豊明市内などに開設したドライブスルー方式のPCR検査所で実施してきた。ただし、検体の採取は原則、綿棒で鼻咽頭の粘液をぬぐう方法のため、患者がくしゃみなどをして、その飛沫が医療者にかかってしまうリスクが高いのが課題だった。 そこで今月2日から国に認められたのが、患者の唾液を採取する検査方法で、愛知県でも3日から一部で導入が始まった。新型コロナウイルスは発症9日以内だと唾液からの検出率も高い。このため、唾液を使ったPCR 検査は、県内の診療所などの医師が感染を疑ってから9日目までの軽症者を対象にする。 患者は受診した地域の診療所などで検体採取容器を受け取り、自宅で唾液を採取。本人か家族が保健所と日時を調整して、保健所の駐車場などで検体を引き渡す。保健所は検体を県衛生研究所に搬送し、PCR検査を行うという流れとなる。大村知事は「唾液を使ったPCR検査は患者の負担を軽減するだけでなく、医療従事者の感染リスクも軽減し、検査件数を増やすこともできる。容器などは市販のありふれたもので、それをどこでどう回収するかなどの流れをつくったのが今回のポイント」と説明した。 これまでの帰国者・接触者外来の検査でも、鼻咽頭をぬぐう方法と並行して唾液での検査を導入していくという。県が調達した検体採取容器をどの診療所や病院に提供するかは明かさず、「まずは帰国者・接触者相談センター(県保健所)に相談してほしい」と呼び掛けた。
「安全・安心宣言施設」ステッカーも発表
会見では他に、新型コロナの感染防止対策に取り組む事業者を「安全・安心宣言施設」としてPRするためのステッカーやポスターを発表した。「発熱者等の施設への入場をお断りします」「3つの密(密閉・密集・密接)の回避を徹底します」などの取り組み項目をチェックし、届け出をすればステッカーなどの電子データが事業者に送られる。大村知事は「県が審査や認証をするわけでなく、届け出をしてもらえればどんな事業者でも活用できる。大いに広まっていってもらいたい」と述べた。 (関口威人/nameken)