ロッチ・コカドが<40歳からの趣味探し>でミシンにたどり着いたワケ。「お笑いを一度離れて古着屋で働いたくらいの服好き。でも楽しくて仕方なかったからこそ、むしろ…」
◆見栄を削ぎ落として 僕らが司会進行をしていたNHKの『ロッチと子羊』という哲学番組の影響もあったかもしれません。 番組では、皆さんの話を聞きながら哲学の先生と悩み、相談に乗っていくのですが、そこで知ったのは古今東西、人の悩みは同じだということ。 欲深かったり、つまらない見栄を張ったり……。悩みに答える哲学者は、孔子やプラトンなど1000年以上も昔の人なのですが、結局は「人と自分を比べない」とか、割と当たり前のことを説いています。 僕は趣味を選ぶ時、例えばサーフィンについても、「カッコいいと言われたいからサーフィンをやっている、とは絶対に思われたくない」という気持ちがありました。 「こう思われたい」っていう自分の気持ちはもちろんですが、「狙ってるようには思われたくない」というのも邪魔な見栄だって気づいたんです。そんな誰かの視線について一切考えることなく、“自分が楽しい”という気持ちだけで趣味を選びたいな。そう思うようになった結果として、「ミシン」にたどりついたんです。 これまで他の趣味を色々試していたおかげで、自分のミシンへの想いには一点の曇りもない、と直感することができました。他の趣味に出会っていなかったら、ここまでのめり込んでいかなかったかもしれません。
◆ロックミシンで世間の目が変わった ミシンに触れた当日、まだ材料もろくに揃えていなかったので、家にあったハギレを使って小さなバッグを作りました。とにかく何かを完成させたくなったんですね。 それからは、お店に布やパーツを買いに走ったり、家にある使い古したものを解体して作り方を学んだりし始めました。 2ヶ月経ったところで、「もっと本格的にやりたい!」と思って、直線用のミシンだけでなくロックミシン(布の端がほつれないよう裁ち目をかがりぬいするミシン)もゲット。 それまでもSNSでチョロチョロとミシンを始めたことを発信はしていたのですが、ロックミシンをゲットしたことを発表するところで、世間の目が変わったことを感じました。「あ、あいつ本気でミシンやるつもりなんやな。ほな見とこうか」と。(笑) “ミシン界”には顔を晒しながらYouTubeをやっている男性が元々ほとんどいませんでした。僕は顔を隠す必要もないということで、顔出しで、喋りながらミシンについての発信をしています。 そうすると数あるミシン動画の中でもちょっと目に付くみたいで、あっという間に認知していただけるようになりました。ミシンに詳しい人が覗きに来てくれてリアルタイムでアドバイスをくれたり、情報交換できる仲間が増えてきてありがたいですね。 (構成=岡宗真由子)
コカドケンタロウ