「無料塾」創設者が語る、格差解消に必要なこと 食料支援と奨学金も実施「教福中道」こだわる訳
教育格差をなくすため各地に無料塾を
つばめ塾のこれまでの成果について、小宮氏はこう話す。 「ボランティア講師は、生徒にとって親でも先生でもない大人。そうした社会人との出会いは、経済的に苦しい家庭の子どもはとくに少なく、つばめ塾は貴重な場になっていると思います。中には、講師との関わりを通じて大学進学への意欲が芽生えた子や、英語を使う仕事に就きたいと考えるようになった子もいます。そんなふうに、つばめ塾は将来への種まきをする場所。それがいつどんな形で芽を出すかは、誰にもわかりませんが、これまで325人の子どもたちに種まきができたことこそが、つばめ塾の成果だと思っています」 無料塾の輪は広がっており、小宮氏が相談を受け、設立をサポートした無料塾は50を超える。 「これまでは八王子市を中心に展開していましたが、まだまだ無料塾がない地域もあります。それもまた教育格差につながると考え、つばめ塾の多拠点化を進めています。すでに東京都区部で活動する東京つばめ塾もありますが、大阪府枚方市でも枚方つばめ塾を開校しました。今後はさらにあちこちにつばめ塾をつくっていきたいと思います」 子どもの将来に大きな影響を及ぼす教育格差。解消に向けては子どもが安心して学べる環境の整備が必要であり、行政や学校とは別の民間だからこそできる無料塾ならではの支援は、今後さらに重要性が増していきそうだ。 (文:吉田渓、注記のない写真:編集部撮影)
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