京セラ、ドライバーが焦点調節しやすい電子ルームミラー「Bifocal Mirror」をCES2025で世界初公開
京セラは、1月7日~10日(現地時間)に米国ネバダ州ラスベガスにて開催されている世界最大級のテクノロジ見本市「CES 2025」に、京セラグループとして出展している。ブースは、West Hall Vehicle Tech and Advanced Mobilityゾーンで、ブース番号は4816。 【画像】世界初公開となるBifocal Mirror 今回の出展では、モビリティ社会の実現に貢献する部品からシステムまで、京セラグループの幅広い製品・技術を紹介するほか、安全で快適な未来を実現するための鍵となる、京セラグループの総合力と最先端技術を、デモ展示などを通して体験できる。 主な出展内容は下記の通り。 Bifocal Mirror(世界初公開) 通常の電子ミラーは液晶ディスプレイに映った後方カメラ画像を直視するが、運転席からの距離や視野の違いにより、老眼や遠視の人には焦点が合わず見えにくいという課題がある。そこで「Bifocal Mirror」は、ヘッドアップディスプレイのように遠方に拡大された画像を表示することにより、ドライバーの焦点調節が容易になり、はっきり、瞬時に画像を確認できるという。また、バックカメラで認識した情報にAR技術を活用して、タイムリーにミラー上に表示し、安全運転をサポートも可能とした。現在バックカメラを義務化する国が増えてきていることから、電子ミラーの搭載率向上も期待されている。 ミリ波センシングシステム (北米初展示) ミリ波センシングシステムは、微小な振動を高精度に検知できることから、車内や浴室などでも正確に心拍数を測定し、体調変化の通知が可能とした装置。これによりプライバシーと安全を両立しつつ、ドライバーモニタリングやヘルスケアにも応用できるほか、ミリ波4Dイメージングレーダーを用いて、メカニカル方式のLIDARを置き換えるミリ波センシングSLAM技術も開発。ドライバー不足が深刻化する中、この技術を活用することで超低コストを実現しつつ、悪天候時でも、より正確で安全な運転をセンシングでサポートできるとしている。 AI測距カメラ (北米初展示) AI測距カメラは、極小かつ光沢・半透明物体の距離計測を可能とするカメラ。従来の測定方法では困難であった物体に対して正確な距離の計測を可能にし、従来の単眼測距より10倍の精度を実現したという。また、製造現場での協働ロボットによる部品選別のほか、医療現場での人体計測や手術器具など、金属光沢のある物体の認識、物流・小売現場での搬送ロボットの周辺監視での活用など、さまざまな分野での応用が可能で、社会全体の労働力不足および生産性向上に貢献が期待される。 カメラ-LIDARフュージョンセンサ LIDARは自動運転などモビリティ分野において不可欠なセンサだが、京セラが開発したカメラ-LIDARフュージョンセンサは、世界で初めてカメラとLIDARの光軸を一致させ、ワンユニット化した装置で、リアルタイムにカメラの画像データと距離データを重畳することができ、高度な物体認識に活用できるのが特徴。 また、世界最高の解像度と、独自設計のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems:微小電気機械システム)ミラーによる高耐久性を有し、厳しい環境下でも高精度にセンシングできるため、自動運転車両の障害物検知をはじめ、船舶や重機などへの展開も可能としている。 高精細 空中ディスプレイ 空中ディスプレイは、京セラ独自の光学設計により、小型化と高精細・高画質を両立したほか、歪みによる画質劣化を抑え、高画質のまま、浮かび上がったリアリティのある映像を表示できるのが特徴。曲面ミラーのみを使用することで光利用効率が向上し、低消費電力かつ高輝度表示を実現。さらに、各種センサと組み合わせることでインタラクティブな非接触操作を実現するという。展示ブースでは、未来の車室空間をコンセプトにしたデモ展示を実施している。 ■ 水中光無線通信 可視光の広帯域化により通信情報量を向上させるGaNレーザーを活用した水中光無線通信。実証実験では、世界最速レベルの最大2Gbpsでの通信を実現したほか、青色レーザーを用いて、水中での10Gbps以上の通信を目指し研究開発中という。また、この技術はビーム形状の伝搬特性により、特定の受信者にのみ伝送が可能で、電波干渉や電磁波障害がなく、利便性と秘匿性を兼ね備えた次世代通信技術となる。
Car Watch,編集部:塩谷公邦