音楽シーンからみるアメリカ大統領選。ハリス支持は多いが、トランプにはダメージなし? 大和田俊之さんに聞く
11月5日、共和党候補のドナルド・トランプと民主党候補のカマラ・ハリスが争うアメリカ大統領選の投票が行なわれる。両候補の支持率は拮抗し、どちらが勝利するかわからない状況だ。 【動画】CNNに出演し、民主党のイスラエル擁護を批判するマイケル・ムーア エンタメ業界も、大統領選で揺れている。ビヨンセやテイラー・スウィフト、エミネム、ミーガン・ジー・スタリオンなどはハリス支持を表明し、トランプ陣営の楽曲使用を拒否するアーティストの姿が目立つ。 一方で、慶應義塾大学法学部教授でポピュラー音楽などを専門とする大和田俊之さんは、「トランプ陣営にとってはダメージになっていないだろう」と話す。 それはなぜなのか? エンタメ業界の動向と、分断が深まるアメリカの状況について、大和田さんに聞いた。
アメリカ大統領選と音楽の関わり
―アメリカ大統領選では集会での音楽なども注目を集めますが、ハリス陣営とトランプ陣営はそれぞれどんな音楽をどう活用しているのでしょうか? 大和田俊之(以下、大和田):どちらの陣営も音楽を使っていますが、エンターテインメント業界全体は民主党(ハリス陣営)への支持に傾いています。ビヨンセやテイラー・スウィフトなど、民主党の支持を表明するアーティストは多く、集会でもよく演奏していますね。 ラッパーのリル・パンプなどトランプを支持するアーティストもいますが、集会で演奏しているのはだいたいキッド・ロックやリー・グリーンウッドで、あとは、トランプ陣営が勝手に集会で楽曲をかけて、アーティスト側が辞めてくれと拒否するのが繰り返されています。 ―Foo Fighters、セリーヌ・ディオンなどが楽曲使用をしないように要求していました。 大和田:ただ、トランプ陣営にとっては全然ダメージになっていないと思います。むしろ、エスタブリッシュメント(既得権益層)のハリウッド業界の言うことなんて聞かない、というトランプの姿勢がウケている。そもそも、ローリング・ストーンズなどのバンドが曲をかけるなと言って離れるような支持者ではないだろうと思います。