NTTデータグループ、2024年度上期は増収増益--クラウドDCや生成AIで進展
佐々木氏は、日本に関して、国内データセンターを通じたソブリンクラウド(主権クラウド)への対応についても言及した。経済の安全保障に関する危機感の高まりを背景に、ソブリンクラウドに対するニーズが加速し、NTTデータグループは「Oracle Alloy」を採用して、同社データセンター内で運用しているソブリンクラウドの「OpenCanvas」のラインアップを拡充。サービス強化を進めている。 佐々木氏は、「Oracle Alloyの導入と豊富なクローズドネットワークを合わせて活用し、よりソブリンティの高いサービスを提供していく。OpenCanvas関連ビジネスで2030年度までに1000億円の売り上げを目指す」と宣言した。 なお、データセンター事業拡大に伴いて課題となる温室効果ガス(GHG)総排出量については、2023年度実績がScope1/2で2021年度比33.4%減となったほか、サプライチェーン全体を含むScope3では47.2%の削減を達成した。 佐々木氏は、「今後データセンター事業を拡大していく中でも2040年度のネットゼロ実現を目指し、エネルギーの効率化や再生エネルギーの利用、ITシステムの脱炭素化への取り組みを進める」と語り、「データセンター事業は電力の確保が重要で、とりわけ再生可能エネルギーをどう利用するかが重要になる。電力確保の持続性がますます大切になるだろう。自家発電のほか、再エネ発電事業者との直接契約、グリーン電力の調達といったことに優先順位を付けながら取り組む」と説明した。 今回の決算で佐々木氏がもう一つのポイントとして挙げたのは、生成AIへの新たな取り組みだ。 佐々木氏は、NTTデータグループが描く生成AI活用の将来像が顧客のビジネスと同社のビジネスを労働集約型からAI駆動型に変革させることだとし、「それに向けた新たな取り組みとして、パーソナルなAIエージェントによって労働力を提供する『SmartAgent』のコンセプトを実現し、グローバルにさまざまなサービスを提供する」と語った。 国内では、生成AIによるサービスを「LITRON」の名称で展開しており、2024年11月からは、営業に特化した新サービスとして「LITRON Sales」の提供を開始した。また、NTTデータグループの20万人の全社員に対し、基礎的な生成AIの教育も実施。2026年度までに実践的AI人材を3万人育成する計画も打ち出す。 一方で、海外事業統合の進ちょく状況については、「上期にITシステムの最適化を中心に進めて55億円を支出した。年間計画に対して予定通り」(佐々木氏)という。海外事業の統合によるシナジー創出に向け、下期は事業ポートフォリオの変革やコーポレート機能の最適化に取り組むという。 NTTデータグループの上期業績は、データセンター事業の拡大とともに、生成AI分野における新たなサービスの創出が着実に進展していることを裏付ける内容だったといえる。