NTTデータグループ、2024年度上期は増収増益--クラウドDCや生成AIで進展
海外セグメントでは、「Global Technology and Solution Services」(GTSS)が、ハイパースケーラー向けデータセンター事業やSAP事業が拡大。さらに、North America(北米)地域での更改案件の獲得がトピックスになる。 佐々木氏は、「海外セグメントの受注高は2650億円増の1兆6177億円となり、為替の影響を除いても1400億円の増加。北米市場は回復基調にあると判断しているが、EMEAL(欧州・中東・アフリカ・中南米)は業績予想に対して遅れがあり、APAC(アジア・太平洋)は事業規模が大きいオーストラリアの特定顧客の失注によって減収減益にとなった」と説明。海外事業は新しい経営体制のもと、中長期の視点で経営改革を進めているとし、「国や地域ごとに業績予想の進ちょくに差異がある。楽観視はできないが、通期業績予想の達成を目指す」と述べた。 North AmericaではIT産業の成長が続くものの、インフレ動向の不確実性を背景とした企業投資の手控えや、適切なスキルセットを持つ人材の不足などの成長阻害要因も内在しているとする。「上期は減収だったが新規案件や拡大案件の受注パイプラインが増加しており、目標達成を目指して取り組んでいる」と説明した。 EMEALは、欧州での平均GDP(国内総生産)の成長率予測が低いものの、IT投資は堅調で、特にスペインは製造業が堅調でIT投資が旺盛だという。一方で、ドイツは自動車業界のIT投資が抑制傾向に働いている。南米は、平均GDP成長率予測は低いもののIT需要は旺盛だと分析している。「スペイン、南米が好調だが、英国やドイツで減収になっている。今後、新規受注パイプラインを創出し、受注率を上げる取り組みを継続したい」と佐々木氏。 APACは、IT市場が持続的に成長しているものの、オーストラリアのGDP成長率が低水準にあり、APAC全体でもインフレや為替変動などの不確実性が企業のIT投資にマイナスの影響を与える可能性があるという。「オーストラリアは上期に減収だったが、新しい経営体制による立て直しを実行中であり、回復に期待したい」とする。 GTSSについては、生成AIの広がりにより20%以上の追加成長が見込まれているデータセンター事業と、企業のクラウドERPへの移行需要が引き続き旺盛なSAP事業で高成長を遂げているという。 なお、NTTデータグループの2024年度通期(2025年3月期)の連結業績見通しは、期初予想を据え置き、売上高で前年比1.4%増の4兆4300億円、営業利益で同8.5%増の3360億円、税引前利益で同2.6%増の2550億円、当期利益で同2.3%増の1370億円の増収増益を計画。受注高はデータセンター事業を除き4兆3300億円を見込んでいる。 今回の上期決算は、同社のデータセンター事業の好調ぶりが示される内容となった。データセンター事業は、売上高が前年同期比3億4000万ドル増の11億9000万ドル(約1818億円)、EBITDAが同8000万ドル増の4億700万ドル(約622億円)、営業利益が同3000万ドル増の1億8700万ドルとなった。2027年度のEBITDAで14億ドル超(1900億円超)と、大幅な成長を目指している。 海外では、データセンター事業への旺盛な需要を踏まえて、2024年度通期の投資計画を29億800万ドルとしている。上期時点で8億6000万ドルを投資し、進ちょく率は30%にとどまるが、佐々木氏は「下期に比重を置いた投資計画であり、想定通りの進ちょく」と説明。下期に投資を加速する考えを示した。 また、ハイパースケーラー向けの受注が好調で、それを中心に上期の受注実績が前年同期比4億8200万ドル増加の30億1100万ドルに達したという。 「現在は6割がハイパースケーラー向けであり、4割がエンタープライズ向けだが、足元の需要では、8~9割がハイパースケーラー向けにある。また、AIデータセンターの利用が今後増えてくる。AIデータセンター向けの新たな冷却技術への対応も必要になってくる」とした。 旺盛な需要に対応するため、データセンターのサービス提供容量の拡大を図るとし、2024年度通期で10棟を建設。約410メガワット(MW)規模を新たに提供する。そのうち上期では4棟を建設し、約180MWの提供を開始したという。