1人のプレーヤーとしての、1人のキャプテンとしての進化。柏レイソル・栗栖汰志が実感してきた“11分の1”が成長する意味 高円宮杯プレミアリーグEAST 柏レイソルU-18×大宮アルディージャU18マッチレビュー
1週間前の記憶が脳裏に蘇らなかったはずはない。でも、懸命に上を向く。前を見据える。声を出す。「自分がミスをしたことで悪い雰囲気を作ってしまったら、それがチームに影響してしまう立場なので、自分のプレーができなかった苛立ちとか悔しさはみんなの前では出さずに、自分の中にしまってやっていくしかないのかなと思います」。気持ちを切り替えて、それまでと変わることなく、ディフェンスラインに指示を送り、チーム全体を鼓舞し、ポジティブな空気感を纏い続ける。
62分。柏U-18に決定的なピンチが訪れる。右サイドを崩された形から、相手の放ったシュートはきっちり枠内へ飛んできたが、栗栖は素早い反応で的確にボールを弾き出す。そこから3分後。吉原が再び沈めたゴールは、そのまま決勝点に。チームは勝点3を奪い取り、サポーターと『勝利のロレンソ』を日立台に響かせた。
「1人1人がチームのために、勝利のために走って、やるべきことをやってくれたことが本当に大きかったと思いますし、それが勝利に繋がったと思います」。そう話したキャプテンは、この日の“後輩”から小さくない学びを得たという。
「今日も自分のパスミスから失点してしまった中で、その後のメンタルのところで言ったら、前半にあったPKを外した烈士が、その直後に切り替えてプレスに行って奪って、そこから得点に繋がったというところで、そういうリバウンドメンタリティはもっと磨いていかないといけないなと、今日のゲームで烈士から学びました」。吸収できることは、どこからでも吸収しようというスタンスに、元来持ち合わせている素直な人間性も垣間見える。
レギュラーを掴んだ昨シーズンの後半戦も、最後方から常に大声を張り上げ、リーダーシップを発揮しようとする姿勢は際立っていた。今年の3月。就任したキャプテンという役割について問われた際にも、「去年からチームに対してポジティブになれるような声を掛けていましたし、試合に出ていない時も自分は声を出して、チームを引っ張ることを意識していて、そういう部分を評価してもらった中でキャプテンに選んでもらったので、特にやることを変えることはないのかなと思います」と語っていた言葉も印象深い。
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