扶養控除縮小に国民民主「待った」 税制改正協議で焦点化、自民・公明と3党綱引き
10月に児童手当の支給対象を広げたことに伴う税の扶養控除の扱いが、令和7年度税制改正で焦点となってきた。自民党は予定通りの扶養控除縮小を求める意見が多い一方、国民民主党は扶養控除維持を要求しており、公明党を含め政策協議を行う3党の立場には隔たりがある。年末の税制改正大綱の最終決定に向け、3党の攻防が激しくなりそうだ。 高校生年代(16~18歳)を扶養する親などは現在、年収から38万円を引いて所得税額を計算できる。10月からは子育て支援策の一環で、児童手当も受け取れるようになった。 6年度の政府税制改正大綱には、児童手当の支給拡充に伴い、所得税の扶養控除額を25万円に引き下げる方針が盛り込まれた。住民税の控除額も年33万円から12万円に縮小される。高校生世代は教育費がかかることから、扶養控除の廃止ではなく縮小にとどめた。 政府・与党は所得税の8年分から、住民税は9年度分から扶養控除を縮小するかどうか7年度税制改正の協議で最終決定する方針だ。一連の改正で世帯の税負担は増えるが、政府は児童手当との差し引きで手取りは年間3万9千~12万円増えると試算する。 国民民主は与党に示した7年度税制改正の要望書で「扶養控除の維持・拡大」を重点項目に挙げる。また、公明は縮小と維持で意見が分かれ、与党内も一枚岩ではない。 6年度の与党税制改正大綱では、子育て世帯向け住宅ローン減税の優遇措置延長などは「扶養控除の見直しと併せて行う」と明記。扶養控除の議論の行方次第で、他の子育て関連税制に影響する可能性もある。 ■扶養控除 配偶者や子供など扶養家族がいる場合、所得税や住民税の課税対象額から一定額を差し引く制度。現行制度では、高校生年代(16~18歳)の子供の場合は所得税が年38万円、住民税は年33万円が控除される。