「平和なときに戦争は準備される」 80年後のいま…「戦後」は「戦前」になったのか【報道特集】
翁長安子さん 「なぜ首里でね、ここで負けたんだったら負けましたで降参すればね、あの人たちを殺さんでも済んだのになと。もう本当に殺された人たちがどんな思いで死んだんだろうな、あそこまで生きよう生きようと思って逃げたにもかかわらず、無残に殺された。そして遺骨は野ざらしになった」 沖縄の運命が決められた場所。それが、第32軍司令部壕だと、瀬名波さんは言う。いま、司令部壕を保存・公開する活動の先頭に立つ。 第32軍司令部壕の保存・公開を求める会会長 瀬名波榮喜さん 「人間としては、当然あるまじきことが堂々と行われていた。人間性が失われておったんだ、獣性をもって、獣の性質をもっておった、それにとって変わっていた。人間性回復のための壕にしたい」 ■与那国町長「一戦交える覚悟」を呼びかけ…南西諸島で進む自衛隊の配備 沖縄戦が始まる直前。新聞「沖縄新報」の見出しには、南西諸島の文字。社説は、敵愾心をあおった。 そして今、南西諸島には、自衛隊の配備が急速に進む。 与那国町長 「全国民がいつでも日本国の平和を脅かす国家に対しては一戦を交える覚悟がいま問われているのではないでしょうか」 与那国島では、2022年、アメリカとの共同訓練に絡み戦闘車が公道を走った。石垣島や宮古島と同じように、ミサイル部隊の配備が計画され、新たな土地の取得、そして有事の際に自衛隊などが使用することを前提とした空港滑走路の延長や港湾の整備計画が進む。 2024年5月17日、アメリカのエマニュエル駐日大使も訪問し、日米同盟をアピール。そして、政府は6月、台湾有事を念頭に、先島諸島の住民を九州各県と山口県へ避難させる計画を九州地方知事会に提示した。 80年前を体験した人々は、80年後の風景に何を見るのだろうか。 ■“平和なときに戦争は準備される” 裏付けた31年前の軍事演習 瀬名波榮喜さん 「沖縄戦前夜そのものだと思うんですよ。民間の飛行場を使えるようにするとか、あるいは民の土地を自由に使えるようにするとか、そういうやり方も戦争直前そのものですよ。戦争するときは、みんないいことを言うんですよ。東洋平和のためならばとなったらね、誰が反対しますか。もうノーと言えない状態に追い込んでしまうんですよ」