「脚本?そんなもんないよ」アイアンマン出演俳優が明かす撮影現場が修羅場すぎた!
ペッパーがトニーの絵画コレクションについて助言する場面の通し稽古中に、パルトローがファヴローに対していくつか極めて細かい指摘をした。 そこでファヴローは、ペッパーがトニーに対して同じことを言うように、脚本を書き直した(トニー・スタークが絵画コレクションを持っているという設定自体が、ダウニーの実生活に基づいていた。セット装飾担当のローリー・ギャフィンのオフィスに、ある日ダウニーが「ふらりと現れて椅子に座った」とき、彼のアートについての話が小一時間止まらなかったことを受けて、ギャフィンはセット用の絵画を集めたのだった)。 ● 朝の4時にいくつものパターンで リテイクを繰り返す修羅場 パルトローが自分の体験を活かした場面もあった。ウォルト・ディズニー・コンサート・ホールで撮影された大規模なパーティ会場で、デオドラントをつけ忘れたとトニーに打ち明け、思わぬユーモアで観客を微笑ませた。 濃い青のドレスに身を包んだペッパーにトニーが魅了される場面は、それ以降のシリーズを通じて鳴り続ける反響のような力を持っていた。「あの場面の絵コンテを描く段階から、皆楽しんでいました」と衣装デザイナーのローラ・ジーン・シャノンが言う。
「ペッパーが振り向いて、トニーは自分の恋心に気づくんです。ようやく。観ている皆はとっくに気づいてますけどね。まあ、それが男ということで」 この場面の撮影は、全日程のちょうど真ん中だった。カオスな状態を何とか操りながらファヴローは撮影を続けたが、この場面がその真骨頂だった。 「ジョンはやる気満々でした」とギャフィンが思い出して言う。彼女も他のスタッフも、脚本もなく場面がどっちに向かって進んでいくかも見えていなかった。 ダウニーとパルトローがキスするテイクもあった。「急にディズニー・ホールの屋上に行ってキスしたり。何だ?どうなってるんだ?と皆わけが分かりませんでした」 「朝の4時に10もテイクを重ねながら、俳優の前に走っていって、前のテイクと全然違うことをしてと指示を出したり大騒ぎです。そういうことは他にもありましたが、いつもスタジオの連中には、狂人を見る目で見られましたね」とファヴローが回想する。 編集段階でファヴローは、いくつかのテイクを組み合わせて、ペッパーとトニーがすれすれキスしそうでしない場面を作りあげた。2人のロマンスが花開く待望の瞬間は、マンダリンの登場と同様、お預けになった。
ジョアンナ・ロビンソン/デイヴ・ゴンザレス/ギャヴィン・エドワーズ