「脚本?そんなもんないよ」アイアンマン出演俳優が明かす撮影現場が修羅場すぎた!
あの場面があまりにも象徴的になったので、10年以上の歳月を経て作られた『アベンジャーズ/エンドゲーム』のエンド・クレジットの最後には、洞窟内に響くトニー・スタークのハンマーの音が使われたほどだ。 ● アイアンマンの心臓を いじっていいのはペッパーだけ トニー・スタークとペッパー・ポッツを演じるダウニーとパルトローの相性の良さは演技を越えて本物だった。それに感づいたファヴローが猛烈なこだわりを見せた場面がある。 ペッパーがトニーの胸郭に手を突っ込んで、アーク・リアクターを交換する場面。これは元々グロさが笑えるように書かれた場面だった。ダウニーの胸部に取り付ける特殊な胸のダミーをジェイミー・ケルマンが造形し、KYジェリー〔粘性と潤滑性のある水溶液で、元々性的な目的で使用される製品〕を流し込んでトニーの生体機械的な心臓部をべとべとにする段取りだった。 しかしこの場面は感情的な重みを持つべきだとわかっていたファヴローは、脚本の該当部分を自分で書き直すことにした。
「ファヴローは、あれを2人が絆を結ぶ場面にしたかったんですよ」とファーガスは説明する。「演出する自分も大いに楽しめる場面だと思ったんですね。どこか親密で、どこか気持ち悪くて、どこかセクシーで。ファヴローはこの瞬間が印象に残ることを本当に願って、時間をかけて書き直していました」。 何百といる女友達の中でも、トニー・スタークが信用して心臓をいじらせるのはペッパー・ポッツだけ。それをファヴローは強調したかった。 ● キャラクターに生命を吹き込む 俳優たちの即興演技 2人の間にロマンスを感じさせるためには、俳優2人の持つ頭の良さと魅力を引き出す演出が求められ、2人の俳優は少し盛った自分を演じる必要があった。 コミックスのトニー・スタークは大したユーモアの持ち主ではないが、ダウニーは持ち前のウィットをキャラクターに吹き込み、さらに皮肉屋という衣で包んだ。 パルトローは、ダウニーほど自然に即興演技をこなせるわけではなかったが、彼女の個性を脚本に盛り込む術をファヴローが見つけていた。リハーサルの最中にパルトローが言ったことをファヴローは片っ端から書き留め、ペッパーの台詞に転用したのだ。