「脚本?そんなもんないよ」アイアンマン出演俳優が明かす撮影現場が修羅場すぎた!
「ジェフは現場に入る3ヵ月前には脚本を読んでおきたいタイプだから」とファヴローは言う。しかし『アイアンマン』の現場では3ヵ月前どころの話ではなかった。「毎日、ロバートが現場に現れては、トレーラーに籠って1人で台詞をいじって遊んでいました」 「まあ、骨組み(アウトライン)はあった」とブリッジスが嫌そうに認めている。 ロイド・カトレットは、長年ブリッジスのスタンドインを務めてきた(スタンドインとは、照明テストその他の技術面のリハーサル中に、俳優の替わりにカメラの前に立つ俳優と背格好や肌のトーンが近い役者のこと)。カトレットが撮影話を教えてくれた。 「朝現場に入ります。するとジェフとファヴローと何人かのプロデューサー、脚本家が1人、そしてロバート・ダウニー・ジュニアが楽屋に入って、どっしり座ったまま4時間も5時間も出てこない。 その間私たちは『今日はどんなことに決まったんだろうね』と考えながら、ぶらぶら休んだり昼飯を食べにいったりしています。でもやっと出てくるときには、その日に撮る場面のすごく面白いアイデアを持って出てくるんです」
● レスリー・ビブの髪型を5秒で変えろ 洞窟のセットは使わないかも? ファヴロー組のスタッフは、しばしば素早い調整に応じることを要求された。大きな調整もあったが、細かいものもあった。 パスコウィッツは、パーティーの場面でレスリー・ビブの髪型を「5秒で」変えろと言われた。関連する場面が削除されたので、一度も使われないままセットが壊されることもあった。 「脚本はすごく変わりました」とアート・ディレクターのスーザン・ウェクスラーは言う。 「私たちは、まずアイアンマンが誕生する洞窟のセットを組み始めたんです。絶対に使うセットがあるとすれば洞窟だとわかっていましたからね。けれど3分の1ほど組んだところで、『洞窟はいらなくなるかもしれない』と言われました」。 ウェクスラーによると、そこにマイケル・リーヴァが割って入り「セットはほとんどできてるんだけどね。あれを使わないのはバカみたいだと思うよ」と言ったそうだ。 トニー・スタークが意地にかけてアーマード・スーツを作りあげ、マーベル・スタジオの最初のスーパーヒーローとして生まれ変わったあの洞窟。あれがない『アイアンマン』はちょっと想像できない。