進まぬ憲法改正 岸田首相「総裁任期中の実現」表明も…国会閉会なら「言行不一致」党首討論でサプライズあるか
【岩田明子 さくらリポート】 憲法改正に向けた動きが進まない。自民党は、改正原案の今国会(23日まで)提出を見送る見通しとなった。立憲民主党が反対するなか、憲法の議事進行を強行すれば政治資金規正法改正などの国会審議に影響しかねないと判断したようだ。 【一覧】主な「ポスト岸田」候補 ただ、岸田文雄首相(自民党総裁)の改憲に対する発言からすると、疑問を持たれてもおかしくないのではないか。 岸田首相は2023年10月の施政方針演説で、「『あるべき国の形を示す』国家の基本法たる憲法の改正もまた、先送りのできない重要な課題だ」と述べ、積極的な議論への期待を示した。さらに、今年1月の施政方針演説では、「今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいる」と語っていた。 改憲時期については、自身の「自民党総裁任期(9月)中の実現」を繰り返し強調してきた。ところが、今月10日の参院決算委員会では、「党として『最大限の努力』をしていく方針はまったく変わりはない」と、後退と受け取れるような表現に変わった。 スケジュールを考えると、厳しさは否めない。 国民投票は、国会の発議から60~180日以内に行うと定められている。岸田首相が掲げる9月までの改憲を実現するには、今国会中に原案を固めて発議まで進む必要があったからだ。 ここまで再三、「総裁任期中の改憲実現」を表明しておきながら、国会を予定通り閉会させるとすれば、「言行不一致」と批判されても仕方がない。スケジュール的に厳しいのであれば、国会の会期を延長して条文作成を行い、来年の通常国会で発議するため「それまで総裁をやらせてほしい」と訴えるのが筋だという声も聞く。 もちろん、改憲論議が進まないのは、岸田首相や自民党だけの責任ではない。 13日の衆院憲法審査会では、与党筆頭幹事の中谷元氏(自民党)が、緊急事態時の国会議員任期延長に関する論点をまとめた「個人的メモ」を披露して条文案作成へ議論加速を求めた。 これに対し、立憲民主党の逢坂誠二氏は、改憲勢力ですら衆参で温度差があるとして「条文化作業をすべき状況にない」と一蹴し、中谷氏が呼びかけた国会閉幕後の審議も「現実的でない」と応じなかった。さらに、立憲民主党は条文化作業が強行された場合、参院側では全ての法案審議に応じられないと自民党に伝えていた。