人前で服を脱ぐ、性的な言葉の連呼…子どもの問題行動、解決の糸口は?
坂爪 障がいを持った方も、そのご家族も、誰もが幸せになるのが理想ですよね。 ● 性的欲求の自己管理ができれば 他人や社会とつきあっていける 大川 強度行動障がいのお子さんも、性的な欲求を自分でうまくコントロールできたとしたら、暴れてしまうような場面をコントロールできるようになるかもしれませんね。 坂爪 私もそう思います。自分で性的欲求の管理ができるようになれば、自分と他人、社会と付き合っていけるようになると思っています。 そのときに他者とのスキンシップが足りないと相手の気持ちや痛みがわかりません。スキンシップは最低限必要なものだと思います。健全な形での触れ合いを推奨するという意味では、フォークダンスなどのプログラムがあります。 大川 基本的なことをうかがいますが、障がい者の方が自慰行為をコントロールすることはできるのでしょうか。 坂爪 そもそも自分の性器を触ること自体は悪ではありません。自分の都合で他人の性器を触るのがダメだという話です。適切な場所や時間、空間でしていこうねと誘導していくことが重要だと思います。 大川 みんなで手をつないだりダンスを踊ったりすることで、自分の性器を触らなくなったということも聞いています。
坂爪 性器を触ってしまう理由には、「退屈である」とか「不安である」というようなストレスのサインということもあります。ストレスをなくせばおさまるケースもあります。支援学校の先生も、性器をいじり出す生徒がいたら、自分の授業が退屈なんだなと認識することもあるようです。子どもたちはメッセージを発しているんですね。図画工作などの両手を使う作業も物理的に性器を触れなくなるので良いと聞いています。 ● AVや異性の裸に興味津々 その気持ちは自然なもの 大川 成人した重度知的障がいをお持ちの方で、AVが大好きな方がいらっしゃいました。そうした嗜好は問題ないのでしょうか。 坂爪 そこは自由だと思います。それによって悪い刺激をうけるケースもありますが、正しい性教育の情報があれば大丈夫だと思います。AVをみんなで見て、AVはあくまでもフィクションだということを話し合う授業もあります。今はスマホがあれば個人でAVを見られる時代ですが、それはあまり好ましくありませんね。 大川 われわれの世代はビデオデッキがない時代だったので、みんなでこっそりポルノ映画館にいくということをやっていました。今思うと、観終わったあとにお互いに感想を述べていたのですが、それは意味のあることだったんですね。