人前で服を脱ぐ、性的な言葉の連呼…子どもの問題行動、解決の糸口は?
大川 なるほど。 坂爪 性に関するトラブルの背景を見てみると、一番割合が多いのは「障がい特性」です。次に学校や家庭内での「精神的なストレス」、「生活技術の不足」と続きます。つまり、大部分は性的欲求以外の問題がからんでトラブルが起きています。 ● 生活環境や人間関係を 整理するのが解決への近道 大川 一番割合が多い「障がい特性」とはどういう意味でしょうか。 坂爪 主に自閉症やADHDなど、対人コミュニケーションがとれない、人の気持ちが理解しづらいといった障がいに関連するものを指します。この結果をふまえると、性的欲求の問題として対処するのではなく、生活環境や人間関係を整理していく方法が解決の近道だと考えられます。 大川 自分が重度の知的障がい者の施設を訪ねた時、みんなの前でずっと全裸になっている方がいらっしゃいました。ところがずっと全裸というわけではなく、農作業や食事のときは服を着ていました。そうした様子を見ていて、なにかちょっとしたきっかけでコントロールできるようになるのではないかと感じました。
坂爪 服を脱いでしまう方は結構いらっしゃいます。そういう方がなぜ全裸になるのかを考えていくと、「触感が嫌だ」とか「好きな色がある」だとか、きちんとした理由のあることが多いんです。そうした希望にこちらがうまく対応していけば、なんとかなるケースの方が多いのではないでしょうか。 ● 親の無知や無理解が 子どもの性の問題を生む 大川 性教育についてはいかがでしょう。この相談も非常に幅が広くて、「そもそも知的障がい者に性教育は必要なのか」というものから「なぜ子どもに自慰行為を教える必要があるのか」と怒り出す親御さんもいます。 坂爪 第一に、子どもと接する機会が多いのは親御さんと施設の職員さんです。そうした身近な人たちが性に関するマナーを教える大切さを感じています。 大川 身近な人が性に関するアドバイスをする場合、個人によってどうしてもばらつきが出てきてしまいますよね。坂爪さんは障がいをお持ちの方のご家族から性の相談を受けた時、最初にどんなことを伝えているのでしょうか。