人前で服を脱ぐ、性的な言葉の連呼…子どもの問題行動、解決の糸口は?
坂爪 親御さんが持っている性に対する固定観念や、無知・無理解がそのままお子さんの性の問題になってしまっていることもよくあります。まずは親御さんの性に関する認識に目を向けて考えていただくようにしています。具体的には、親御さん自身が性に関する問題を学んだり、偏見を取り除いたりすることも必要なのではないか、と問いかけています。 大川 専門家のチームが親御さんへの教育も含めてキャラバン隊のように全国を回るというのはどうでしょうか。 坂爪 とてもいいアイデアだと思います。 大川 多くの施設が「どう対応したらよいか」というノウハウを持っていれば、障がい者の方の選択肢も増えますよね。放課後等デイサービスや特別支援学級でも、性教育をふくめたわかりやすい事例やノウハウを共有してほしいと思います。 その際、日本だけでなく海外の事例もビッグデータにして「こういう事例にはこう対処すると良いですよ」というエビデンスを基にした支援ができるようになるといいですね。
● 問題行動の背景を探っていくと 個人や社会の課題が浮かび上がる 坂爪 問題行動は一種のメッセージです。トラブルは個人的な課題や社会的な課題など、いろいろなものが積み重なって起こります。単純に押さえつけるのではなく、問題行動の背景を深堀りして対策を講じていけば、いずれ解決できると思います。 大川 問題行動の原因には、家庭の不和もあるのでしょうか。悩み、苦労されているときには両親のぶつかり合いもまた当然あるかと思いますが……。 坂爪 そうですね。障がいのあるお子さんの家庭は離婚率が高いんです。「お前が面倒を見ろ」と、夫婦どちらかにまかせてしまうのは本当によくない。離婚にいたると、どちらか一方に負担がのしかかって、つぶれてしまうケースがあります。これをなくしていきたいですね。 大川 親御さんが先に亡くなってしまうという問題もありますよね。私が知っている施設では「親亡きあとの終の棲家」というテーマで取り組みをしています。 まず親御さんたちに対して「できる限りのことはわれわれがすべてやります。親御さんは自分たちのやりたいことをやってください」と伝えています。施設からそう言われることで、ご夫婦の仲も改善して、利用者の活動も活発になったケースがありました。 ある程度のスキルをもった福祉従事者が充実していれば、ご家族の方も安心して本来の自分のしたいことができるようになるのではないでしょうか。