「ちなみに」を多用する人は要注意…周囲から「いまその話いる?」と思われる人の典型パターン
伝えたいことを正しく伝えるためには何が重要か。関西テレビ放送アナウンサーの石田一洋さんは「説明するうえで大切なのは、『聞き手にとって分かりやすい』ことなのに、説明を『自分のプライドを満たすためのツール』にしてしまう人がいる。多くの人が経験談や過去の結果を自慢したり、知識や専門用語で尊敬を集めようとするという典型的なパターンに陥っている」という――。 【図表】人によってイメージする犬は異なる ※本稿は、石田一洋『あなたの話はきちんと伝わっていますか?』(総合法令出版)の一部を再編集したものです。 ■聞き手とイメージを共有できないとエラーが起こる 突然ですが、質問です。 頭の中で「一匹の犬」を思い浮かべてください。 …… さて、あなたが思い浮かべたのはどんな犬でしょうか? ある人は柴犬かもしれないし、ある人はチワワかもしれません。 また別の人は、トイプードル、ポメラニアン、ブルドッグ……など、犬種、大きさ、毛色など、人によって思い浮かべた犬は異なるはずです。 待ち合わせをするとき、「集合時間にちょっと遅れます」と言う人がいます。 この「ちょっと」はどのくらいをイメージしますか? 5分でしょうか? 10分でしょうか? 「ちょっと」というのは、人によって解釈が異なります。 自分では5分だと思っていても、人によっては10分かもしれません。 同じ言葉でも、イメージする映像やそこから連想する感覚は人によって違います。 相手の頭の中とズレが生じないように、固有名詞や数字を使うなどして解像度を高めた説明を心がけましょう。
■男女、年代、キャリアなどの違いで言葉の受け止め方は違う 極端な話、男性と女性という違いだけで言葉の受け止め方は大きく異なります。 脳科学の視点から男女の考え方の違いを解説した黒川伊保子さんの『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』(ともに講談社)などがベストセラーになりましたが、同じ言葉、同じ話し方でも男女で伝わり方が全く違います。 すれ違いが生じるのは、ある意味避けられないことなのかもしれません。 男女だけではなく、年代、キャリア、部署などの違いによっても、少なからず理解度にギャップは出てきます。 それぞれがすでに持っている情報量によって、「説明に含まれる言葉の周辺情報を補って理解する力」には大きな差が生じます。 家族や恋人、同じ部署の同僚であれば、自分のことをよく分かってくれているので、言葉足らずになっても、聞き手が想像力を働かせて、理解に努めてくれるでしょう。 基本的に、日常会話では自分と周りの人との前提が似通っているから伝わるのです。 それに気づかずに、ビジネスシーンでも初対面にもかかわらず前提を合わせずに説明不足のトークをする人は少なくありません。 ただし、日常会話でもお互いの前提が揃っていなければ、とたんに話が噛み合わなくなることもあります。 ■顔と名前がすぐに浮かばない「ママ友の話題」 私がついていけない会話の一つに、妻によるママ友の話題があります。 ○○君のママ、○○ちゃんのママ、というように、子どもの名前で説明されるママ友コミュニティは、私には無限に登場人物が出てきているように聞こえます。 ---------- 「今日はしー君のママと、ゆー君のママと、みーちゃんのママと……」 ---------- 子どもの名前が次々と登場してくるため、誰が誰だかよく分からないまま苦笑いで話を聞くしかありません。 きっと妻の頭の中には、それぞれの人物が明確に描かれているのでしょう。 しかし、私があまり面識がない子どもやママ友については、名前を聞いても顔や関係がすぐには思い浮かびません。 それでも、妻が悪気なくその日の出来事について喋り続けるのを聞いていると、前提条件を揃えることの大切さを実感します。