観客はわずか10人、1公演30分――日本最速レベルで「有観客ライブ」再開に臨んだ、地方アイドルの葛藤【#コロナとどう暮らす】
西金沢少女団のメンバーであり、ソロとしても活動するオモテカホさんも、そんなステージに立つひとりだ。 「照明もあるし、やっぱり暑いですよね。冷房の冷気が(ステージと客席を仕切る)透明のシートにかかって、上が若干白くなっていたり。でも、思っていたよりお客さんのことは見えるので大丈夫です」 都道府県をまたぐ移動の自粛は、今月19日から緩和される方向だ。西金沢少女団のファンの居住地は、近畿圏や首都圏など、石川県だけに留まらない。以前なら当日券での入場も可能だったが、すべての公演チケットを事前にオンラインショップで販売する形式に変更した。 「最悪、感染者が出た場合でも、お客さんの身元にたどり着けるようにしました。ファンの人も良識を守ってくれています」(伊勢さん) 全国的にライブハウスに対して厳しい目が向けられているが、これまで西金沢少女団は、西金沢駅前商店街・西金プリンスロードのPR活動も行い、地元住民との信頼関係もある。これまで抗議は一件もないという。
ファンと2メートル以内に近づいていない
ライブ活動を再開した西金沢少女団だが、握手や写真撮影を行う特典会も様変わりを余儀なくされた。握手やハイタッチはなくなり、アイドルとファンが一緒に写真を撮る場合も、前後か左右に2メートルの距離を置くルールとなった。 「再開してから、ファンの人と2メートル以内になったことがないんです。お互いマスクをしていて、かつ間にビニールがあると、大きな声で話さないと、けっこう聞こえなくて」(オモテさん)
西金沢少女団では、特典会でマスクとフェイスシールドのどちらを使うかをメンバー自身が選択している。オモテさんは「写真を撮るときに反射しないのかな」と気にしてマスクを選んでいるという。 ライブを再開した影響は、日常にも影を落としている。オモテさんは、感染リスクを考え祖母に会うことを「自粛」しているという。 「おばあちゃんには、やっぱり会えないですね。家から徒歩で3分ぐらいのところに住んでいるんですけど、行かないようにしています」(オモテさん)