マンUの香川 誰が新監督なら蘇るのか
ファン・ハール監督なら窮地か?
シーズン終盤になって成績不振の続くデイビッド・モイーズ前監督を電撃解任し、クラブのレジェンド的存在である元ウェールズ代表MFライアン・ギグスが暫定監督に就任したプレミアリーグの名門、マンチェスター・ユナイテッドの新監督を巡る報道がかまびすしさを増している。オランダの大衆紙『テレグラフ』は26日、オランダ代表を率いて今夏のW杯ブラジル大会に臨むオランダ人のルイ・ファン・ハール監督がマン・Uの新監督に就任することで合意に達したと伝えた。 マン・Uの広報官は報道を否定したが、来シーズンの指揮を託すとされる候補者の名前は、ファン・ハール氏を含めてすでに複数が報じられている。その中にはドイツの地で香川真司をブレークさせた恩師、ボルシア・ドルトムントのユルゲン・クロップ監督も含まれている。そして、ノリッジ・シティを4対0で一蹴し、暫定監督としてのデビューを飾ったギグスに対しては、27年間も監督を務めたアレックス・ファーガソン氏、エースのイングランド代表FWウェイン・ルーニーが相次いで正式監督への就任を支持している。 パワーとフィジカルの強さを重視したモイーズ前監督に事実上干され、出場機会を失ってきた香川にとっては、どのような展開になるのが最も理想的なのか。W杯後のオランダ代表監督退任をすでに表明しているファン・ハール氏は、マン・Uの新監督就任に対しては問題ない。62歳のファン・ハール氏自身が、プレミアリーグでの指揮を希望しているともされる。アヤックスを皮切りにバルセロナ、バイエルン・ミュンヘンなどのビッグクラブを率いてきた重厚な経歴は、エバートンを指揮しただけのモイーズ前監督の単調なサッカーに辟易していた主力選手たちのクラブへの求心力を、再び高める状況を生み出すかもしれない。 稀代の戦術家としても知られるファン・ハール氏は、オランダ伝統の4‐3‐3を採用する可能性が高い。スリートップの前線の左右には典型的なウインガータイプの選手を配置することになり、香川が勝負できるポジションは必然的にトップ下の「1」枠に限定されてくる。ルーニーだけでなく、スペイン代表のフアン・マタが来シーズンも残留すればトップ下は最激戦区となり、今シーズン以上に出場機会が限られてくるおそれもある。 元日本代表MFで、現在は解説者を務める水沼貴史氏は、実際にファン・ハール体制が誕生した場合、香川が置かれる状況をこう予測する。「目指すサッカーの方向性がわかってくれば、新監督のスタイルに合う、合わないという判断を下す必要性が生じるかもしれない」