マンUの香川 誰が新監督なら蘇るのか
右肩上がりの調子をW杯へ
水沼氏はシーズン終盤になって右肩上がりに転じた香川のパフォーマンスを、ニュージーランド戦で自身の現状と正面から向き合い、意識を高く保って日々の練習に取り組んできた賜物だと指摘する。「香川の真摯な練習態度を選手兼任コーチとして間近で見ていたからこそ、ギグスはノリッジ戦で先発として起用したのだと思う。上手く事が運ばないときはネガティブな感情を抱くのが人間だし、それが表情に出てしまうのが香川だったが、もう心配はいらないと思う」 クロップ氏もドルトムント残留を公言している状況下においては、最も理想的な展開はギグスの肩書きから「暫定」の二文字が外れることだろうか。ポール・スコールズ、ニッキー・バットら一時代を築いたレジェンドたちで形成される政権は、選手たちだけでなくファンの求心力をも取り戻すはずだ。来シーズンのチャンピオンズリーグ出場権をも失ったチームを1年で再建するためには、まだ40歳と若く、監督経験のないギグスではなく、キャリアが豊富なファン・ハール氏に緊急手術を託した上でギグスに禅譲させる形も考えられる。 いずれもしても、これ以上は推測の域を出ない話であり、クラブの最終的な判断を待つしかない。香川には残されたシーズンで実戦での勘と心身のコンディションをさらに高め、ブラジルの地に万全の状態で臨む仕事が求められる。水沼氏もこんなエールを送る。「香川が初めて臨むW杯で結果を残せば、その後の展開も変わってくると思う。どん底を味わわされた今シーズンだが、もう悪くなることはない。コートジボワールとの初戦へ向けて、チャンピオンズリーグから続く復活モードを右肩上がりで描き続けていって欲しい」 リーグ戦は残り3試合。ザックジャパンの10番を背負う香川にとっては決して消化試合ではなく、完全復活と未来をかけた貴重な舞台となる。 (文責・藤江直人/スポーツライター)