照ノ富士が4場所ぶり9回目の復活優勝。本割で霧島に、優勝決定戦では琴ノ若に横綱相撲で圧勝。琴ノ若は大関昇進へ
2024年1月14日、東京・両国国技館で始まった大相撲初場所は、横綱・照ノ富士の優勝で千秋楽を終えた。『婦人公論』愛読者で相撲をこよなく愛する「しろぼしマーサ」が今場所もテレビ観戦記を綴ります。 * * * * * * * ◆横綱への道は厳しい 大相撲初場所の千秋楽は、3場所休場して復活をかける横綱・照ノ富士と初優勝と大関昇進をねらう関脇・琴ノ若の2敗同士の優勝決定戦となり、照ノ富士が寄り切りで勝ち、4場所ぶり9回目の優勝を果たした。 照ノ富士は、優勝の賜杯を手にした後の土俵下のインタビューで、「心だけ折れないように日々頑張ってきた」と話していた。 照ノ富士の所属する伊勢ヶ濱部屋では、十両10枚目・尊富士(たけるふじ)も優勝している。 照ノ富士は本割では、綱とりをかけていた大関・霧島に技も力も発揮させなかった。決まり手は寄り切りだが、霧島の体を一瞬吊り上げ、その後、左手だけで土俵下にぶん投げた。「横綱はまだ早い」と示すかのような相撲。霧島は4敗となり、横綱への道は厳しい。 琴ノ若は13日目に照ノ富士に負けた。霧島も琴ノ若も照ノ富士にこれまで勝ったことがなく、今場所も負けたので、照ノ富士の壁は分厚くて高いのだ。
◆「勝ちたい」ではなく「絶対に負けない」 照ノ富士は、初日に登場した時は胸の筋肉が落ちていて、どうなることかと思った。 後半戦が進むほど、気合いのせいか、準備運動のせいか、顔が真っ赤、体も真っ赤になった。照ノ富士は真っ赤になると強いことが判明した。 私は、花道に置いてある力士が自分の相撲を確認できるモニターについて、連日見ていた照ノ富士の姿に注目していた。力士は手に巻いたテープをほどきながらモニターを眺めたり、付け人と眺めたりしている。負けた時には見ない力士もいる。照ノ富士は連日、眺めるではなく、食い入るように見ていた。 調子は万全ではないが、「勝ちたい」ではなく「絶対に負けない」という、照ノ富士の心の姿勢と研究心が伝わってきた。横綱になる人は精神力も研究心も頭脳の明晰さも、ほかの力士とは違うのだと思った。 千秋楽の向正面解説の舞の海さんと実況の太田雅英アナウンサーが、場所前の照ノ富士は休場が続いたため、稽古で5番か6番とっても息切れをしていたこと、稽古の何10番よりも本場所の1番が照ノ富士を復活させたことを話していた。